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【波多野】
「波多野、あの子何処までいったの?」
 仕事で近づいた女は目尻にホクロがあるカマトトだと、同僚から聞いた直後。思わず詮索してしまう。
「さあ、貴様の思う所までじゃね?」
 喉の奥で笑い、頬杖をつく彼にこちら側に居ては届かない。噛み締めた唇から広がる味は鉄分を含んだ醜い感情。

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