13

 

【中原】
 余りにもつまらない生活に囚われていた頃。不意に窓から声をかけられた。黒い帽子とマント、少し意地悪そうにつり上がる口元に私は昔読んだ絵本の登場人物を思い浮かべ、口に出してしまう。
「魔法使いって、んなもんじゃねェよ」
 飛び込んだ黒に惹かれて、引き留めようと言葉を重ねる。

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