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【神永】
「君に似合うと思って」
 簪を紫光りの黒髪にそっと飾る。
「どう?」
「俺の見立ては間違ってなかったよ」
 絶妙な言い回しに唇が孤を描く。
「其れで神永くんは、此れで私を飼い慣らした心算?」
 簪の鈴を弾き、贈り物の意図を見透す瞳にゾクリ。此の仔猫ちゃんの手強さは癖になりそうだ。

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