05

 

【三好】
 朝焼けと共に消え行く白霧が二人の関係を表している。
「目が覚めたら、きっと貴男はいないのね」
「わかりませんよ」
 少しつり上がった瞳が、部屋に差し込む街灯を帯びて光る。それは夜道を悠々と歩く猫を連想させた。
「そうやって嘘ばかりなんだから」
 霧に潜むのは互いを繋ぐ嘘だけ。

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