117

 

【太宰】
 はらり、はらり。散りゆく運命にある花が彼女の肌に落ちれば、小さな花弁に蝕まれて行く様だった。眠りについた美しき人を花弁で永遠にするこの瞬間が、彼を満たす。
「此れだから春が待ち遠しく思うよ」
 彼女の血を吸ったこの桜はどの様な色を私に魅せてくれるのか。彼は壊れた桜人。

-107-

[*prev] [next#]
[TOP/]