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【中原】
 嘘で塗り潰した言葉を囁く。
「このまま眠ってしまいたいわ」
「俺は構わねェが…」
 小柄な体に蔓延る様に縋りついて蜜へと誘う一瞬、煌めいたのは彼の瞳。
「これはいただけねぇな」
「っ」
 隠した刃を持つ手を捻り上げられる。
「夜は長ェ、そう急ぐんじゃねえよ」
 沈殿する夜の攻防は続く。

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