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【太宰】
 どんな万物も彼を縛る権利はない。縛られる事を避け、生からの解放のみを求める。
「どうしたら、太宰さんを留めることが出来ますか」
「君はもう既にその方法を実践中だ」
 彼はお茶目っ気たっぷりに片目を瞑り、小指を立てる。
「この糸から逃れられる気がしないよ」
 繋ぐは見えない赤い糸。

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