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▼ ウシノシタクサ:あなたが信じられない

 知りたくて、知りたくなくて。ぼくはきみが許せない。信じられないんだ。
「だったら離れればいいのに」
 床に伏せていたきみはこほと咳をしながら言う。きみの体は自分で毒を作り出してしまうらしい。その毒できみはこうして長いこと苦しんでいる。
「薬はちゃんと飲んだの?」
 飲んだよ、きみは笑った。嘘だな、直感した。きみのその病は治ることがない。だったら、早く死んでしまいたい。きみはそう考えている。そのことが、手に取るようにわかる。

 薬は一時のしのぎでしかなくて、立ち上がることもままならない。まるで木になったみたいと昔のきみは言っていた。
「大木よ、そして私の木の葉でみんなに木陰を作ってあげるの」
 素敵でしょう。いつかのきみは笑っていた。でもぼくは笑えなかった。だってそれは自己犠牲だ。きみの自己犠牲の上に成り立つ安らぎなど、ぼくはいらなかった。
「きみが信じられないんだ」
 いっそ、信じてしまえばいいのに。
「ぼくはきみに生きてほしいのに」
 きみはゆったりと微笑んで、その細い腕てぼくの頬を触った。
「私はあなたが生きていればそれでいいわ」
 残酷で御免なさいね、と。




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