05

夢主視点


 朝。朝日と共に目覚めて、軽くストレッチをする。ジャージへと着替えを済ませて、部屋の外へと出れば、まだ本丸の皆さんは寝静まっているようだった。冷たい空気を吸い込んで、ゆっくりと吐く。そうしてから私は走り出した。
 ランニングをしているとぽつぽつと起きている刀剣男士さんに会った。印象的なのは途中で出会い、世話係だからとランニングに付き添ってくれた獅子王さんと愛染さん。そして台所で朝食を作る燭台切さんと加州さんだった。美味しそうな匂いがすると獅子王さん達が嬉しそうにしていて、食事は大切だなと考えた。
 朝食に呼ばれてランニングを終えると獅子王さんと愛染さんが体力あるなと褒めてくれた。走ることだけは得意だと伝えれば、好きこそ物の上手なれと笑っていた。
「ゲッ、俺、今日畑当番だ! 」
「まあ頑張れって」
 落ち込む愛染さんに獅子王さんがぽんぽんと慰める。畑当番とは何だろう、ランニング中に見かけた畑の世話をするのだろうか、だとしたら広かったので大変そうだ。
「じゃ、ヒカルはどうする? 」
「どうする、とは」
「特に希望がないなら屋敷の案内をするぜ」
 獅子王さんがそう言って笑ったので、それならばと頷いて了承した。屋敷のことを知るのはいい機会かもしれない。だってこの家はとても大きくて、迷子になったら大変だ。

 屋敷は大きな母屋と小さめの離れ、そして馬小屋や蔵などで構成されていた。そもそもの敷地は広く、四方が塀で囲まれているらしい。唯一の出入り口は大きな門で、刀剣男士さんが時空を超える際に利用するのだとか。
「時空を超えるんですか」
「いろんな時代に遡行軍は現れるからな」
「そこうぐん」
「歴史修正主義者のことだ。俺たちが戦っている敵だぜ」
 そういえば審神者さんが敵と戦っていると言っていた。その敵というのが歴史修正主義者であり、遡行軍とも呼ぶものということだろうか。
「大変ですね」
「そうだな。でも、守りたいものがあるから、頑張れるんだ」
 獅子王さんはそう言って笑った。

 しばらく歩き回っていたら、どうにも体がむずむずした。走りたいなと思う。でも、獅子王さんが案内してくれているから我慢しなければ。
「走りたいのか? 」
「えっ」
「顔に出てる」
「すみません」
 謝ることじゃないけどと獅子王さんは頬を掻いた。そして、案内が終わったらまた走ろうと約束してくれた。私はありがとうございますと頭を下げたのだった。

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