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???視点


 その女の子はゆらりふわりと橙色の髪を揺らしているの。そして肌はね、まるで透明みたいなのよ。そういう肌は日光の中ではクスクスと笑っているように見えることを皆さんはご存知かしら、ええ、知らなくたって何にも問題はないことよ。それでね、ええと。そう、そうしてね、ゆらゆらと揺れながらぼうっと外を眺める女の子の表情は何も表してやいないけれど、どこか溶けていくようなのよ。とびきりの美人でも可愛げのある子でもないけれど、その時の彼女はうつくしい女の子でしたわ、ええ、とても。
「なにも要らないの。」
 立ち上がった女の子はね、透明な肌とオレンジ色の髪を日の光で煌めかせて、数歩だけちょんちょんと歩いて振り返ったわ。
「なんにも要らないのよ。」
 おばあちゃん。そう私のことを呼んで、微笑んだわ。スカートの裾を掴んで遊ぶ指先は楽しそうだから、私は注意するのを後回しにしてあなたのその目が何を映しているのかと眺めたの。だってとても興味深いことですからね。
「だって私は−」

 そう、そんな女の子なのよ。だからね皆さん、心してお聞きなさい。
『少女の 嘘 をお見極めなさい。』
 そうすれば皆さんはその、輝くような子をナくすことがないのですからね。

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