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夢主視点


 昨日から、皆さんの様子がいつもと違った。常に刀剣男士さんが隣に居て、私に話しかける。私と話してもそう面白くないだろうにと考えていると、その時そばにいた愛染さんが眉を下げて答えた。
「消えたのかと、思ったんだ」
 この世界から跡形も無く消えたのかと。そう言って泣きそうな顔をする愛染さんに、私はただただ唖然とするしか無く、でもどこか、胸部がこぽりと何かで満ちたような気がした。

 愛染さんと代わるように隣に来たのは獅子王さんで、獅子王さんは愛染さんに休むように言った。愛染さんは頷いてから、私に明るく笑いかけてまたなと駆けて行く。その背中をじっと見つめていると、どこか胸に違和感があった。胸に手を当てて、首を傾げる。心音等に問題は無い。
 そうこうしていると、じっと獅子王さんが見ていた。どうしたんですか、そう顔を上げて聞けば、獅子王さんはきっとだけどと言った。
「ヒカルは心配されるのが不思議なんだな」
 その言葉に、それはそうかもしれないと頷いた。だって私は心配されるようなことには遭ってない筈だ。ただ寝て起きたら何故か皆さん揃って大騒ぎで、困惑しているのだろう。
 そう結論付けて浅く頷いていると、獅子王さんが苦笑した。
「ま、それだけ俺たちにとってヒカルは大きな存在になってるってことだ」
 分かってくれよと苦笑したまま言うから、私は頷いた。分かるように努力したいと思ったのだ。だって。
「こんなの、初めて」
 誰かに心配されるというのは、こんなにも胸に違和感を抱くのか。

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