06

夢主視点


 屋敷を案内してもらっていると、お昼ごはんの時間になったらしい。ごはんだよと声が聞こえて、獅子王さんは私を連れて朝食を食べた広間に戻ってくれた。
 どうやら昼食はみんなで食べるという決まりがないらしく、机に並んだ料理の割に集まっている刀剣男士さんは少なかった。また、畑当番には青江さんが食事を持って行ったのだとか。獅子王さんの隣でご飯を食べていると鯰尾さんが今日の畑当番は愛染さんと加州さんだと教えてくれた。
「……? 加州さんは朝ごはん作ってたのに」
「ああ、加州さんは朝食作りをいつも手伝ってるんですよ! だから厨当番じゃないですね」
「そうなんですか」
 実に働き者な刀剣男士さんだ。

 昼食を食べたら、獅子王さんが畑へ案内してくれる事になった。二人で並んで歩き、ずんずんと道を進む。15分程で広い畑に辿り着いた。愛染さんと加州さんを探せば、二人は離れた場所でなにやら作業をしていた。そのうち、トマトの収穫をしている愛染さんへと獅子王さんが向かったので私もそれに続いた。
「愛染大丈夫か? 」
「うわっ、獅子王か! 大丈夫大丈夫。ちょっと暑いけどな! 」
「昨日まで天気悪かったもんな」
 そうやって話をしている愛染さんの隣には山のように積まれた大きなトマトがあって、これを小さな愛染さんが運べるのかと疑問に思う。刀剣男士というものなら運べるのだろうか。
「あの、」
「ん? どうしたんだ? 」
 畑は広い。たったふたりでは一日かけても面倒を見切れないだろう。
「お手伝いしましょうか? 」
「え、」
 愛染さんが目を見開く。私は簡単なお手伝いならできるからとさらに言った。しかし愛染さんは視線をうろつかせて、困り顔だ。獅子王さんがぽんぽんと私の頭を撫でた。見上げると獅子王さんは苦笑していた。
「ヒカルはお客さまだからな。手伝いとかは大丈夫だ」
「そうですか」
 分かりましたと頷けば、愛染さんが気持ちは嬉しいと言っていた。それはきっと事実なのだろう。それにしても、私はお客さまという立ち位置になるのか。お客さまの立ち振る舞いなどは分からないが、気に留めておこう。

 と、ここで屋敷を一通り案内できたらしく、獅子王さんは畑の見学に誘ってくれた。それに賛成し、獅子王さんたちが育てている野菜たちを歩き回って見せてくれた。どれもみずみずしく、まるまると健康そうで、よく世話されているのだなと感じた。私の住んでる家でもおばあちゃんが中心となって野菜を育てていたから、そのことがよく分かったような気がしたのだった。

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