一番大好きな家族/姫鶴+小豆♀
こちら刀剣女士寮です!/一番大好きな家族/姫鶴+小豆♀/友達以上恋人未満、その実、家族。
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女士寮ではない女士がいる本丸です。
この本丸の小豆長光は刀剣女士である。
姫鶴はじいと小豆の髪を見ている。どうしたんだい。小豆はさらりと髪を揺らした。肩ほどの髪は普段適当に結っているため、見かねた小竜や大般若といった同派の男士が手隙の時間に結い直している。
今日は髪をサラリと流したままで、軽くヘアピンで留めてあるだけだ。
「かみがきになるのかい」
「ん。どしたの」
こんな状態なら、燭台切や福島だって黙っていないはずなのに。だから、気になった。
でも、小豆はなんてことのない顔をしている。
「たまたま、だよ。やすみだからね」
「俺がやってもいい?」
「え」
「いいよね。ほら、そこに居て」
姫鶴とて、手先が器用ではない。しかし、好きな物に手を加えたいのは分かる。ということで、だ。姫鶴はブラシとヘアゴムを持ってきた。
「獅子王くんがさあ」
「ああ、かれかい」
「編み込みしてるじゃん。あれを少しアレンジしたら、あつきの髪の長さでも、かわいくなんじゃない」
「そうかな?」
「まあ、あつきはそのままで可愛いんだけど」
「ははは」
姫鶴はあつきは可愛いと繰り返しながら、てきぱきと髪を編み込み、下部で結んだ。
「どお?」
「きれいだよ、きようだね」
「まあね。あつきが綺麗だもん」
「姫鶴はいつもそういう。わたしは、ただのかたなだよ」
「そうだよ。どこにも行かない、審神者の刀。俺たちのあつきだもん」
もう、と小豆は苦笑する。
極のための旅を姫鶴は知らない筈だけれど、誰よりも知っているようなことを言うのは姫鶴だった。
「じゃあ、おれいにすいーつをつくろうか」
「けんけんたちに聞きに行こ」
「おや、山鳥毛は?」
「聞きに行くよ。誰よりも甘えたがりだし」
「ふふ、そうかもしれないね」
小豆がひらりと戸口に立つ。
「さあ、いこうか」
「ん」
光を浴びて、きらきらと輝く刀。
やっぱり、綺麗だ。
姫鶴はすうっとめを細めて、その柔らかい体躯を抱き寄せたのだった。