turb♀こちら刀剣女士寮です!

パンケーキ事変/小豆♀+獅子王♀

こちら刀剣女士寮です!/パンケーキ事変/小豆♀+獅子王♀/女士寮の日常です/Twitterアンケートより。


 たったか。女士寮の女主人こと、獅子王が走ることは滅多にない。だが、この時だけは別だ。小豆はふうわりと笑った。
「小豆っ! 今日のスイーツなんだけどさ!」
「おおめによういしておいたよ」
「助かるぜ!」
 ぱあっと顔を明るくする獅子王は、いとけない少女にも見える。それでも女主人らしく振る舞うのは、外の本丸から女士を守るためなのだ。女士寮唯一の最高レアリティである大包平が、いつだったか、厨で言っていた。
「はい、ぱんけーきだよ」
「メープルシロップはあるか?」
「あたらしいのがあるよ」
「あ、いつもとメーカーが違うやつだ!」
「ためしにかってみたと山伏と秋田がいっていたよ」
「へえ!」
 獅子王はホイップクリームたっぷりのパンケーキに、メープルシロップを流す。そして、ナイフとフォークを使ってパンケーキを口にした。もぐもぐと咀嚼して、飲み込む。一度目を閉じて、じいっとしてから、ぱっと花が咲くように笑った。
「美味いぜ!」
「それはよかった。たんとたべて」
「そうする! いやー、午後は会議が入ってて、夕餉に間に合いそうになくてさ」
「陸奥守からきいたよ。たいへんだね」
「ちょっとワケアリの会議でさ、政府の女士たちも集まるんだ」
「ええと、それはきいてもいいはなしなのかな」
「聞き流してくれ。で、政府の審神者育成所に講師が必要かもとか……主の弟子の一人に任せたいんだけどさ」
「ああ、おでしさん。じょせいかい?」
「両方。性の問題もあるし、本丸差も個体差も大きいだろ? ケースは沢山示したい。出来れば週替りで実体験を語る会とかも開きたくて」
「しごとがおおくないかな」
「そうなんだよ。最近の書類は陸奥守と俺じゃ、回しきれない。かといって、ここは男子禁制だ」
「そうだね」
「だから、うーん。山伏かなあ」
「かのじょはわかいよ」
「だよな。やっぱ、男士の誰かに……」
 そこへ、たったかと愛染が駆けつけた。
「獅子王いるか!」
「どうした愛染」
「この本丸に新しい女士が励起するかもしれないって、伝達!」
「励起前から異常があったわけか」
「見た目は普通の刀だけど、神力がちょっと違うって主さんが言ってた! ただ、」
「ただ?」
「もう、男士の刀はいるんだ。二振り目になることになる。それを認めるかどうか、会議したいって」
「それ、今からでもいいか?」
「いいのか?! ぱんけーき食べてるのに!」
「すぐ食う。行儀悪いけど許してくれよな!」
「のどにつまらせないようにね。あとで、おべんとうをさしいれるから」
「ありがとな、小豆!」
 さて、新しい女士か。獅子王は誰だろうかと新しい仲間に胸を高鳴らせた。


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