turb♀こちら刀剣女士寮です!

秋の陽

こちら刀剣女士寮です!/秋の陽/姫鶴+小豆♀
!生理ネタです!


 今日は女士寮に研修に来ている女士もなく。刀剣たちは揃って本丸屋敷で暮らしている。

 秋の中頃だ。厨の中で燭台切や歌仙と並んで、女士の小豆がせっせとすいーつを作っていた。
「あつき」
 そう呼ばれて、小豆は顔を上げる。姫鶴が厨の戸口に立っていた。小豆はふわりと表情を和らげる。
「姫鶴か。しゅつじんおつかれさまなんだぞ」
「ん」
「ほうこくはすんだかな?」
「ん」
 姫鶴はこくりと頷くと、ねえと口にした。
「すいーつ作りはキリがついた?」
「きょうは、どらやきだよ。もうできたね」
「じゃあこっち来て」
「うん?」
 小豆が手を洗ってすたすたと姫鶴の前に行くと、姫鶴は両手でひょいと小豆を抱き上げた。わっ、小豆が驚いた声を上げる。
「ど、どうしたんだい?」
「体調不良でしょ」
「なんでわかったんだい?」
「いいから休むよ」
 とんとんと姫鶴は軽々と小豆を抱いたまま、歩く。幸い道中で刀剣たちとすれ違うことなく、厨当番の燭台切と歌仙に、気が付かずすまなかったねと、言われただけだった。

 庭に面した姫鶴の部屋。秋晴れの光を僅かに避けるように布団を広げたところへ、降ろされる。小豆がきょとんとしていると、姫鶴はあのさあと不満そうに口にした。
「月の障りでしょ」
「あ、そうだね。におうかな」
「匂いより、顔色が悪い」
 小豆は人より規則正しい生活をしているから、体調不良なんて月の障りぐらいなものだ。姫鶴は淡々と言いながら、立ち上がる。
「温かいものでも貰ってくる」
「ありがとう」
「寝てて」
「うん」
 小豆がいそいそと寝転がると、姫鶴はヨシと頷いてから、たったかと厨に向かった。

 温かな布団の中で小豆がうつらうつらとしていると、姫鶴が戻って来た。小豆が起き上がり、マグ受け取る。中身は、温めて味を整えた豆乳だった。少しずつ飲んでいると、姫鶴がほっと息を吐いた。変に心配されてしまったな。小豆は苦笑する。
「湯たんぽ、いる?」
「ううん。だいじょうぶだよ」
「痛みはある?」
「いたみどめをのんでるからね」
「ん。じゃあ休んでて」
「姫鶴こそ、すきなことをすればいいのに」
「俺は上杉の子たちをほっとく方がやだ」
「ふふ、そうかい」
 やさしいね。小豆の言葉に、姫鶴はそんな事無いとそっぽを向いた。

 なお、そんな二振りを五虎退と謙信と山鳥毛が、戸口からこっそりと見ていたという。


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