秀徳高校三年生/今吉さんと緑間くん/お題箱へのリクエストありがとうございました!


 秀徳高校生として、そして秀徳バスケ部の一員として、充分に働けていると思う。そんな三年の春、ワシは入学式で例の緑色を見て、そういやそうだったと頭を抱えた。生徒会の仲間から大丈夫かと声をかけられたが、ワシはとりあえずそういえば秀徳には緑間が来るんだったとしかぼやけなかった。

 いや、すっかり忘れていたのではない。秀徳に通い、バスケ部のマネージャーをするにあたって当然覚悟していたことだ。だが、実際に過ごしているとやや忘れがちになっていた事実の一つだったのだ。
 緑間とは帝光時代にわりと話をした。他のキセキより話しやすい印象があったからだ。でもその当時は桐皇に行くのだから未来の敵だと思ってた節があったので、だから、その。
(緑間に会うの気まずいねんな)
 頭を抱えたままのワシに、やっぱり頭痛いのかなと副会長に心配されてしまった。そうして飽きもせず秀徳でも会計をしているワシは生徒会の皆さんに平気やと言って顔を上げた。

 緑間を取るという話にはもちろんワシも参加した。ワシは拒否せず、ええんとちゃいますと笑うのみに留めた。正直、緑間がいることで秀徳バスケ部には良い点が多いだろうとのワシの判断を皆は汲み取ったらしく、同じ中学だった今吉が言うのならと、キセキを取ることに不満を感じていた部員たちは揃いも揃って口を閉ざした。
 その際、ただのマネージャーであるはずのワシの存在感おかしくないかと大坪にぼやいたら宮地と木村と三人でまあ今吉だしなと言われてしまった。きみら、ワシを何だと思ってるのか。

 かくしてバスケ部の仮入部期間が始まり、緑間、そして高尾が仮入部した。未来の相棒コンビに思わず面白いなあとにやけてしまった際は、和田に怖がられた。酷くないか。
 全員での顔合わせを済ませ、せっせとマネ業に勤しんでいると、あの、と声をかけられた。緑間だ。
「ん、どうしたん緑間。練習せな」
「あの、そうなのですが」
「ん? 何かあったんか?」
 緑間は戸惑いがちに言った。
「赤司の行く、洛山に居るかと思っていました」
「あ、そういや進路話したことなかったもんなあ。ワシはここにおるで」
「ですからあの、これから、よろしくお願いします、なのだよ」
 何故かガチガチに緊張している緑間にワシは思わず、わははと声を上げて笑ってしまった。驚いた緑間のその背中をバシッと叩く。
「こちらこそよろしゅう頼むわ、未来のエース!」
 そう遠くない、むしろ実はもうすぐの秀徳のエースにワシは良い子だなあと笑ったのだった。



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