キセキの世代が入学しまして/帝光中学校三年/今吉視点


 ドッキドキの入学式である。挨拶は会長に任せて(三年生現在のワシは会計である)、新一年生の席を見回せば居るわ居るわ、カラフルな頭。
 そうである。とうとうキセキの世代が入学したのである。

 だとしてもワシの日常は大して変わらない。三年首席なのに会計をしていることにツッコまれながらも、ワシは生徒会会計だし、相変わらず部活のヘルプに行くし、家事はしなくちゃいけないし、習い事も続けている。流石に高校受験があるので習い事は減らしたが、それでも続けていることに変わりは無い。
 ということであるのだが。
 現在地、体育館前。中ではバスケ部が練習している。いや、何というか。
(ぴっかぴかの一年生キセキとかめっちゃおもろいやろ)
 噂に聞くバスケの腕は可愛くないだろうが、でもなんかこう、初々しい青峰とか桃井とか超見たい。ということで体育館前なのだが。
(なんかめっちゃ遠巻きに人に見られとる……)
 いじめか、と思うぐらい見られていてちょっと寂しい。ちなみに一人では来てなくて、友達の如月さんも一緒なのだが。なお如月さんはイケメンに弱いミーハーっ子なので噂のイケメン(キセキ)を見るぞと意気込んでいる。ただ如月さんはイケメン耐性が無いだけなので、キセキと付き合いたいとは思っていないようだ。彼女が今まで片思いしてきたのは揃いも揃って地味で優しい委員長タイプの男性ばかりだった。
 ということで体育館に入ってみたのだが、周囲が、あの今吉さんがバスケ見に来てるとか如月さんと仲良しって本当だったんだとか、とても煩い。わりと地獄耳なので小さな呟きが聞こえる聞こえる。バスケ部の部員までちらちら見るのだから、さらに鬱陶しい。部活に専念しろやと、苛立っていたのが伝わったのか、如月さんが今吉さんどうどうと落ち着かせようとしてくれた。ありがとう如月さん見た目は派手なのにめっちゃ気がきく良い子。
「あ、見てみて今吉さんあれが噂のイケメンだね!」
「せやねーあれは緑間か?」
「あっちは?!」
「紫原なー」
「あれとあれは!」
「赤司と青峰と、あれは黄瀬やな……?」
 今吉さんよく覚えてるねと言われて、せやなとしか返せない。ていうか待て。黄瀬って二年からバスケ部に入ったんやなかったか。
「どうなってんねんホンマ」
 とりあえず、黄瀬がやたらと黒子に突撃しているのが印象的だった。あと青峰と桃井が可愛かった。



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