悪役令嬢ごっこする本丸のはなし！
審神者は暇だった。
それはもう、めちゃくちゃ暇だった。
なので、図書室に本を増やした。
それはまたたく間に本丸に広がり、
悪役令嬢という概念が確実なものとなったのである！
「どういうことだい！？」
「諦めろ、にゃ」
それは奇しくも、数度目の特命調査、聚楽第の開催期間中であった。
『悪役令嬢ごっこする本丸のはなし！』
1.まずは設定だよね
「まずは設定だよね」
「俺イジメっ子役できるよー安定も」
「イジメ駄目ゼッタイ！！ というか悪役令嬢ってなんだい？！」
「あ、長義さんおかえりなさい！」
「ああ、堀川、良かった。主はどこだい？」
「大包平さんと鶴丸さんと一緒に、舞台の設計図練ってますよ」
「なんで例の大包平と鶴丸がタッグ組むんだ！ カラクリ屋敷しかできないだろう！！」
「カラクリがないと撮影できないだろお」
「何を言ってるんだい和泉守！？」
「主が悪役令嬢なら長義だよとか言っていたが」
「長曽祢虎徹ありがとう、で、主はどこだい？」
「執務室だが」
「ありがとう！！」
2.魔法とかどう？
「あ！ 俺、魔法とか使いたい！」
「戦装束がそもそも中華RPG衣装なのに属性を盛らないでくれるかな？！」
「ふむ。では我が父ぞ」
「ややこしくしないでくれるかな？！」
「んー、エフェクトでバーンってできるんじゃねえか？」
「あ、いいですね！ プロジェクションマッピング班に伝えておきます！」
「そこの脇差短刀詐欺組は待て！ というかプロジェクションマッピング班ってなんだい？！」
3.役者
「うはは、なんだなんだ役者なら僕のところからだそう」
「僕のところも出せるよ」
「一文字と長船の祖は待ってくれ。というか長船の祖なら」
「フラワーアレンジメントなら任せて。花の手配は早めにしたいから頼むよ」
「そっちもか！！」
4.子ども役
「我ら粟田口も協力させてください」
「一大勢力！！」
5.衣装
「衣装ならお任せください！」
「篭手切は落ち着いてほしい」
「役者なら俺たちもできるぜ」
「.5ー！！」
6.古馴染み
「……そこに、和睦は、ありますか……」
「あると思うのかな？！」
「あ、未亡人役ならできますよ」
「何を言ってるんだい？！」
「復讐、かな……」
「待て待て待て」
7.建築
「クソっ本丸に舞台の建築が始まってるじまゃないか！！」
「大体は主の溜め込んださにわぱうわーだ！」
「細かい作業はこちらでやるぞ鶴丸！！」
「おう！！」
「建築精神と驚き刀が組むな！！」
8.経理
「企画書を貰わんと経理は動かんばい」
「博多！ そのまま止めてくれ！」
「おい、先生が部屋に走ったぞ」
「朝尊はまずい、あれは有言実行の刀だろう！」
9.信仰
「……この場合、どの信仰をモチーフにされるのでしょうか」
「カカカ、おそらくは西洋のものだろう」
「愛情いっぱいならオレは何でも大丈夫だぜ！」
「なるほど……西洋だと同性愛は忌避されるそうですが」
「んー、女装すんのかな。長義さんが」
「どういうことかな？！」
10.撮影班
「カメラの予算落ちたぜよー！」
「どこからだい？！」
「先生がやった」
「ふふふ、政府から落としたよ」
「クソっだから南海太郎朝尊を放置したくなかったんだ！！」
11.というわけで
「悪役令嬢なら本歌だろうということで、俺はめいんひろいんだ」
「偽物くんはそれでいいのかな？！」
「俺は偽物じゃない。あと、飯がうまいぞ」
「食べ物で釣られるんじゃない！！」
「撮影始めるぜよー！！」