僕らの暑さ対策/じじしし/かき氷+夏/30000hitありがとうございました!


 本丸にかき氷機がやって来た。
 趣向品はあまり買わない俺たちのおじいちゃん審神者は、暑すぎる夏の暑さにキレてかき氷機を購入した。そもそも季節は主が管理してるじゃないかと近侍の燭台切が言ったが、どうやら二週間ほどシステムの不調で政府が季節管理をすることになったそうだ。で、その政府に暑すぎると物申したのだが、これぐらい普通の暑さだと門前払いを食らったらしい。で、最初に戻る。

「ほう、かき氷か」
「うん。だから、好きな味選べってさー」
 そう言って三日月の前に画用紙で作ったお品書きを見せる。味はイチゴ、レモン、ミカン、ブルーハワイ、宇治金時の5種類だ。ちなみに主イチオシは宇治金時である。というか、主が宇治金時が食べたいと言い出したのでお品書きに加わった。
「イチゴで頼む」
「赤いやつな! 了解! 」
 そのまま離れようとすると、待てと三日月に止められる。何かあったかと振り返れば、獅子王は何味にしたのかと問いかけられたのでレモンだとすぐに答えたのだった。

 かき氷機でがりがりと氷を削り、甘い香りのシロップを垂らす。三日月は赤色。俺は黄色。スプーンを二つ用意して、全部お盆に乗せたら三日月の元へ。
 お待たせと三日月の元へ行けば、浴衣へ着替えた彼がいた。涼しそうだなと自分のジャージ姿を思って言えば、甚平があるぞと言った。用意したのかと部屋の奥を見れば、先ほど主が支給しに着たらしい。
「獅子王は甚平の方が似合うだろうと思ってな」
「そうか? 」
「そうだ」
 さあ、座って食べないと溶けてしまうぞと三日月はかき氷を見て笑った。

 イチゴ味のかき氷を差し出して、俺の前にはレモン味のかき氷を置く。スプーンも渡して、いただきますと挨拶してから、雪のようなかき氷にスプーンを差し込む。一口分掬って口に運んだ。しゅわり、口の中でかき氷が溶けて、甘酸っぱい味が広がる。
「美味しい! 」
「ああ、美味いな。どれ、一口くれんか」
「いいぜ。はい」
 黄色いかき氷をスプーンで掬って差し出せば三日月が食べる。スプーンを引き抜けば、おお、味が違うと驚いていた。
「歌仙と加州がシロップを手作りしてたからな! 」
「そうか。こちらも食べてみるといい」
 スプーンでイチゴ味のかき氷を差し出されてぱくりと食べる。広がる甘い苺味に、美味しいと笑顔になった。三日月もそうだろうと楽しそうに笑っていた。
 しゃりしゃりとゆっくり食べていると、ぱたぱたと廊下を愛染を背負った蛍丸が走って行った。その後ろを明石が待ちなさいと珍しく慌てて走っていく。どうしたのかと思っていると、その後ろを追いかけていた燭台切を見つけて理由を聞いた。曰く、かき氷を食べた愛染が頭が痛いと言い出したの見て慌てた蛍丸が手入れ部屋へと運ぼうとしているのだとか。後ろで話を聞いていた三日月が、かき氷はゆっくり食べないと頭が痛くなってしまうものだとのんびり笑っていた。とにかく蛍丸を止めないとと燭台切はまた走り出した。
 それを見送って、そうだなあと思う。
「俺も体験した方がいいのかなあ」
「おや、どうしてだ? 」
「だってほら、夏の風物詩って主が言ってたからさあ」
「ふむ。かき氷は夏のものだからな。しかし無理をすることはない」
 そうだけど、とかき氷を食べる。口に含んで、溶かして、飲み込む。頭が痛くなるぐらい掻き込んでしまいたい気持ちもした。すると、三日月がクスクスと笑った。
「頭痛がしたら俺と茶が飲めるな」
「あ、そうだな。冷たいから痛くなるんだろうし……って別にそんなことしなくても茶ぐらいできるだろ!? 」
「はは、違いない」
 さあ、残りを食べてしまおうと三日月が笑うから、俺は仕方ないなあと本日の茶菓子はあるだろうかと考え出したのだった。

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