07:普段は頼りないくせに/一期視点


 戦場、その一つ。出陣、その隊に私も獅子王殿もいた。隊長に加州殿、隊員に私と獅子王殿と太郎殿、鯰尾、厚がいた。強く地を蹴って敵の大太刀を葬ると、次にやってきた脇差に対応が遅れる。そこで獅子王殿が飛び跳ねるように助太刀に入り、葬った。鯰尾と厚が刀装を展開し、加州殿と太郎殿が勢いをつけて敵の灯火を消して行く。ぼうっとしている暇はない。次には敵の太刀が向かってきていた。反応が少し遅れて刃が頬をかすめる。しかしそれで躊躇してなどいられない。渾身の力でその首を刎ねる。練度の低い私の泥まみれの戦いは弟たちに笑われるような出来だろう。獅子王殿にもきっと頼りないと思われることだろう。それでも、私は手を止めたくない。限られた生を駆け抜けたいのだ。

 ようやく敵を全て倒せた。荒い呼吸を落ち着けようとしていれば、誰かが私の背を撫でました。獅子王殿の戦装束が見えたので、私は息を切らしているのが少しばかり恥ずかしくて声をかけられずにいました。
「一期、時間はあるからゆっくりでいいって。」
 ゆっくりと撫でてくださる、その調子で呼吸が穏やかになっていきます。ありがとうございますと礼を言おうと顔を上げれば、微笑む彼がいて。
「何か悩みごとか?」
 そんなのは無いのに、私はぽろりとこぼしていました。
「私は、頼りないでしょう。」
 情けないと言えば、獅子王殿は目を丸くしてそれからにっこりと太陽のように笑いました。
「一期はかっこいいぜ!いつもな!」
 一生懸命で、キラキラしてる、なんて。

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