02:冗談で流されて/一期視点


 午後、昼食を食べてから私は部屋に篭り、書類を終わらせました。そして振り返ればいつの間にか部屋の中で昼寝をしている獅子王殿がおられたので、そっと近寄ればその金色に輝く髪が太陽の光できらきらと輝き、なめらかな肌がより鮮明に目に映ったのです。私とは違い、軽装の獅子王殿の露わになっている細い手首を触り、指先で血管をなぞれば獅子王殿の目がうっすらと開き、銀色の目がぼんやりと私を映しました。それが少しばかり嬉しくて、そのまま手首を軽く持ち上げて口付けを落として様子を伺います。ぴくりと体を揺らしたものの動かない獅子王殿に許された気がして顔へと顔を寄せれば、突然引き寄せられて頭を胸に抱きかかえられていました。驚いて素っ頓狂な声を上げる私に、獅子王殿は柔らかな声で告げるのです。
「ほら、いいこ、いいこ。俺は眠いからそういうのはまた今度な。」
 頭を撫でられる感覚に、嗚呼もうこの人はと頭を抱えたくなったのでした。

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