01:本当に年上?/一期視点


「へへっ、どーだ!一期まいったか!」
 ぱあんと鳴らされた玩具に唖然とすれば、私と恋仲である獅子王殿が立っておられました。満面の笑みでその手の中のものがクラッカーというものであると仰られる獅子王殿は続けます。
「今日も仕事ばっかして、しかもさらに何かできることはないかって主に聞きに行こうとしてんだろ?働きすぎだって。」
「え、いや、しかし主たった一人にあれだけの量を負担させてしまうのは……。」
 私がそう言えば獅子王殿はあのなあとため息を吐きます。それから何も言わずに笑顔へと戻り、私の腕に腕を絡めました。
「向こうで弟たちが待ってるぜ?最近いち兄が手合わせしてくれねーって寂しがっててさ。」
「はあ……しかし、」
 それに、と獅子王殿は笑いました。
「俺だって手合わせしたいからな!」
 一期は強いから、そう笑う獅子王殿はまるで幼い子供のように目を輝かせていて、これではまるで貴方が恋人ではなく弟の一人のようだと言ってしまいそうになったのでした。

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