宮中/14.見られた!?


  当番の見回りの途中、隣を歩く中原君とそっと手を繋いだ。恥ずかしそうな中原君の姿に愛おしさがこみ上げる。他の人の目を気にするそんな姿までも、ぼくは素敵だと思うのだ。
 その時、視界の隅にちらりとファーブル君がちらついた。同じく気がついた中原君が手を離そうとするが、ファーブル君はぼくらに気が付かずに道を横切った。あらかさまにホッとする中原君に、指を絡める。所謂恋人繋ぎのそれに、中原君はぼくを見上げてはくはくと口を開閉した。その頬は桃色に染まっていた。
「少しだけだから、ね?」
 中原君は真っ赤な顔で小さく頷いた。

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