宮中/4.あれ、顔赤いよ?


 無意識だった。その頭に手を置いて、そっと撫でて、よく頑張ったねと笑いかけた。それで中原君が茹で蛸みたいになるとは思わなかったのだ。幸い、周囲に人は少なく、利休君が静かにお茶を飲んでいるだけだった。真っ赤になった中原君はというと静かに震えており、何とも不安定に見えた。しかしこれ以上何かをしても全て地雷を踏むようなものに思えて考えあぐねていると、無言で背を向けてバタバタと部屋を出て行ってしまった。残されて困っていれば、利休君が口を開く。
「隠すならもっと上手になりなさい。」
「……ごめん。」
 緩んだ頬を引き締めるべく、ぼくは熱いお茶を淹れに向かった。今は苦味のある緑茶で反省しよう。

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