生命の泡2/3年組中心/SFファンタジー系謎パラレル/第三者視点


「ついたー! 」
「森山、落ち着いて」
「おい荷物落ちるぞ」
 おお危ないと森山は荷物を持ち直した。竜王学園はまるで大学のキャンパスのように広い敷地を持つ。その正門で今年度のサマースクール参加生が集まっていた。
「笠松ー森山ー小堀ー!」
 そう叫んで笠松達に駆け寄って来たのは福井だった。岡村も続き、その後ろには今吉と諏佐もいた。今吉曰く、先ほど道の途中で会ったらしい。
「黛と春日は喫茶店に居ったで。会計したらすぐ来るとか」
「秀徳組はまだなんじゃろか」
 その時、彼らにおいと声が掛けられる。七人が振り返れば宮地と大坪と木村がいた。その後ろには黛と春日もいる。
笠松、森山、小堀
大坪、宮地、木村
今吉、諏佐
岡村、福井
春日、黛
 この12人が今回一緒にサマースクールを受ける。他の生徒達も集まり、指定の午前9時になると門に電子パネルが浮かんだ。おお、と生徒達が驚きの声を上げる。
『アー、テステス。え、もう繋がってるんスか?!』
 画面の中をくるりと少年が回った。歳は13歳ぐらいだろうか。黄色の髪に同色の目が印象的だった。
『みなさんこんにちはッス! オレは電脳アイドルかつナビゲーター キセ ッス! 今日からこのサマースクールのナビを担当するんで以後ごひーきにッス☆ あ、ちょ、長いってそんな自己紹介は大事ッスよ?! あーもうチクチク指示飛ばさないでくださいッス! えー、っと。とりあえずみなさま抽選通過おめでとうございますッス! これからクラスの志願受付と……ってその前に学園に入場しないとッスね! あぶないあぶない。それじゃあ、みなさんの前にパネルを表示するんで事前に郵送した入学許可証の提示をお願いしますッス! あー! アオミネっちそれオレのミネラルウォーター! 』
 何だか既視感を覚えるナビが消えると目の前に電子パネルが浮かんだ。それぞれが鞄から入学許可証を取り出して提示すればOKの文字が表示される。全ての生徒達が提示を終えるとまたナビが登場した。
『オールグリーン! ばっちり認証しましたッス! じゃあみなさんようこそ竜王学園へ! 』
 ギィ、と音を立てて巨大な門が開く。向こうには整備されながらも自然豊かな学園が広がっていた。校舎は茶色い塗装がされたアンティーク調らしい。生徒達がぞろぞろと学園に入っていく。笠松達もそれぞれ感嘆の声を上げながら学園内へと入っていった。

『まずはクラス分けをするッス! 志願受付は本館1階エントランスのクロコっちまで! ちなみにクロコっちはこちらッス! 』
『どうも、電脳ナビゲーター0式クロコはボクです。エントランスにてお待ちしております』
『ちなみにオレは電脳ナビゲーター6式ッス! 』
『その情報はとくに要らないですね』
『えー! そんなことないッスよ! 』
 とにかくお待ちしておりますと13歳ほどの少年の姿をしたクロコが礼をすると画面が閉じられた。笠松達は本館一階エントランスに向かう。その中はホテルのようになっており、皆が辺りをキョロキョロと見回した。すると受付に先ほど見た電脳ナビクロコにそっくりの人物が立っていた。
『どうも。入学許可証の提示をお願いします。』
「キミをモチーフにさっきのは作られたの? 」
 森山が不思議そうに言えばクロコはいいえと否定した。
『これは電脳ナビ0式クロコ専用のアンドロイドボディ……ボクのデザインが元になっています』
「人造人間ってこと?! 」
『そうなりますね。ボクは基本的にこのボディに入ってこの受付にいますので用があればここに来てください。ちなみに6式キセも自分のボディがありますが、彼は電脳世界の方を好みます』
 では提示をとクロコが言うので笠松から順番に入学許可証を提示し、クラスの志願を提出した。結果は全員が提出すればすぐに分かるので結果発表をする第一講義室に向かうようにとクロコが言う。笠松達は頷いて第一講義室に向かった。
 第一講義室は学園で一番大きな講義室らしい。全生徒を収容できるそこで自由に座って待っていると生徒達が続々と集まった。30分ほど経った時、正面の画面にキセが映った。
『はーいみなさん先ほどぶりッス! クラス分けが決定したッス! 』
 キセが両手を広げるとする周りにクラス分けが発表された。自分のコードを確認すれば笠松達は希望通りのガーネットクラスに入れたことが分かった。笠松達が喜んでいるとキセは続けて手を上げた。
『ではみなさんに学生証をお渡しするッス! 机の上に現れるはずなんで受け取ってくださいッス! 』
 すると生徒達の机の一部が開き、学生証らしいカードが現れた。クラス紋章と名前とコードを確認するとそれぞれに正しく渡っていた。
『はい! みなさん受け取ってくださりありがとうございますッス! それではみなさまご入学おめでとうございますッス! 竜王学園での一ヶ月のサマースクール、開講ッス〜! 』



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