宮今/夕方だけどねむたくて/三年の九月設定です/30000hitありがとうございました!


 本日、休日也。
 一人用ソファに沈み込むように座る。寮にこれを運ぶのには苦労したなと三年ほど前の自分を思い出す。実家から、どうしてもこれだけは持って行きたいとゴネたのだ。その時の父親の呆れ顔は今でも鮮やかに思い出せた。ふと、机の上に置いた時計を見た。十八時十五分。彼は何をしているだろうと携帯に手を伸ばした。

 しかしコンコンとノックされて、仕方なくドアに近づく。諏佐だろうかと思いながら開けば、ようと声をかけられた。その人物に、頭が痛くなる。
「……寮は基本、関係者以外立ち入り禁止って言うとるやろ」
「お前の恋人だから関係者だな」
 アホかと、制服姿の彼、宮地の胸を叩いた。

  宮地がいつものように部屋に入ってカバンを床に置くので、仕方ない奴だと簡易キッチンでインスタントコーヒーを淹れる。ブラックがいいかと問いかければ、応と返ってきたので自分の分だけミルクを入れた。
 カフェオレとブラックコーヒーを持って戻れば、ソファに顔を埋める宮地が居て、何しとるんと問いかければ枕と言われた。意味がわからない。
「眠いんならベッドで寝とき」
「いいのか」
「一緒に寝るとは言っとらん」
「理不尽だ」
「何が理不尽じゃボケ。コーヒーは机の上でええか? 」
「ホットかよ」
「氷入れるん」
「最近肌寒いよな」
「なら文句言うなや」
 宮地はハアと息を吐きながら起き上がり、新学期が始まったと憂鬱そうにつぶやきながらマグカップを持ち上げた。そら九月やからなとカフェオレを飲めば、時間がないと彼は不機嫌そうだ。
「学生なんて時間が溢れとるやん」
「俺今日も部活だったんだけど」
「そらご苦労さん。ワシんとこは休みやったで。なんか他の部が練習試合するらしくてなあ」
 それよりも帰らなくていいのかと、問いかければ、あと少しと眠たそうにしている。あんまり家にいたくない理由をワシは知らないが、まあ、家族と何もかも上手くいく時なんて少ないだろう。
「ま、休むならどうぞ。ワシはどないしよ」
「一緒に寝るんだろ」
「嫌」
「うるせえこっち来い轢くぞ」
 理不尽なのはどっちだと思いながらも、眠たそうな宮地に根負けして、マグカップを机に置いてから近寄った。腕を広げた彼の胸に頭を擦り寄せれば、ごろりと寝転がったので釣られて寝転がる。そのまま抱きしめられたので視界は宮地でいっぱいだった。しかし、部活帰りなのに汗臭くないのは、おそらく学校でシャワー浴びてきたからだろう。何と言うか、用意周到としか思えない。
「って痛い! 少しは加減しろや! 」
「ねみい」
「ワシは抱き枕とちゃうわ! 」
「三十分したらおこせ」
「目覚ましでもないんやけど」
 しかしすぐに寝息が聞こえてきて、三秒で寝よったと頭を抱えたくなる。仕方ない、きっかり三十分したら起こそうと携帯を手繰り寄せて控えめな音量のアラームをセットした。そして、たまにはこういうのもいいかと彼の胸に額を寄せたのだった。

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