2指を絡ませて/堀今/500字未満


 受け入れられないのは分かるよ。そんな知ったかぶったことを言う。
 小堀はワシの前ではいつも困った顔をする。優しい笑顔の時もあるけれど、それよりただただ困った様子の顔をしている。それは彼曰く、どうすればいいのか分からないんだ、ということらしい。
「好きになってしまったから。」
 それが一人ではなかった。ならばどうするか、奪い合うのか? 否、もっと効率的な方法があると彼らは考えたそうだ。
「共有してもいいと思えたんだ。」
 優しい指先がワシの指に絡まる。向かい合って立っている。ワシより背が高いのに、どこか頼りないような、肉付きの悪い指をしていた。でもその手が強い力を秘めていることを、ワシは何度も思い知らされていた。
「だから、受け入れてほしいんだ。」
 それは諦めるということなのだろうか。そう問いかければ彼は頭を横に振った。そうではないよ、と。
「全てを認めてほしいんだ。」
 そうして指はかたく絡め取られた。思考がぐるりと回る。
(嗚呼、それの何処が異義だっていうんやろ。)
 知らないさとでも言うように引き寄せてワシを閉じ込めたその体は、かつてと何にも変わりの無い彼のような気がしたのだった。

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