1年戦闘科首席
そういえば、とユウキ君が口を開く。
「トウコちゃんは1年戦闘科首席だよね」
「あ、うん。よく知ってるねユウキ君」
「はあ?!」
「トウヤどうしたの?」
「そうだったのトウコ!」
俺が驚きでそう言うと、チェレンも驚きで聞いてないよと少々声を荒げた。そんな俺たちにトウコはきょとんと言ってなかったっけ?と言っていた。
「ちなみにベルは知ってたの?!」
「知らなかったよお!?」
「ごめんごめん言い忘れてたや」
「まさかここに首席が二人も揃ってるなんて、不思議だな!」
「三人とも落ち着きなよ。」
「そうですよ、注目集めそうですし」
「あんまり目立ちたくないよねー」
にこにこと笑って言うハルカさんに、俺たちはトウコを問い詰めるのをやめた。しかし、本当にトウコが首席だと知らなかった。
「言ったとばっかり思ってたや」
「まあ、嫌でも入学式には知れ渡るだろうね」
「チェレン、嫌味っぽいよ」
「嫌味だからね」
「仲良しなんだね!」
「幼馴染だもん」
笑い合うベルとハルカに、チェレンは決まり悪そうに眼鏡の位置を直した。ユウキ君は食事に戻り、ミツル君は微笑ましそうに俺達を見ていた。
俺も食事に戻り、全員が食べ終えるまで話しながら食事をした。
………
食べ終わると、男女に分かれて寮に戻る。そういえば何故ユウキ君はトウコが首席だと知っていたのだろう。
「戦闘科だからね。一応同じ学科の首席は調べておいたんだ」
「へえーって読心術」
「顔に出てたよ」
にこやかに指摘され、少しだけ恥ずかしくなる。そんなに顔に表れやすくない方だと思ってたんだが。
「ここを曲がれば寮でしたっけ?」
「次の道じゃないか?」
ミツル君とチェレンの声に、俺とユウキ君が会話に参加する。
「チェレン君と同意見だよ」
「俺はよく覚えてないけど次の道だと思う」
「なるほど。じゃあ次の道で曲がりましょう。」
本当にこの学園は広くややこしい。迷いそうだから早く慣れたいものだ。