胡桃色と花葉色



男子寮に入ると、扉の近くに柔らかな花葉色の金髪に深い紫色の目をした人が立っていた。この人は綺麗というより美しいという形容詞が合いそうだった。そんな金髪の人はニコリと笑んで胡桃色の髪の人に話しかける。

「ミナキ君。今日は大人しくレポート書くって言ってたよね?」
「マ、マツバ…」
「僕は大人しくしてるって聞いたから寮入りの新入生を案内する手伝いをしていたんだよ?それなのに」
「す、すまない…」

咎めるようなそれに、俺は思わず声を上げた。

「あの!この人は野生のグラエナを」
「知ってるよ。でもね、ミナキ君の今回のレポートは本当に締め切り間近なんだ。」
「マツバ、落ち着いてくれ」
「落ち着いているよ。まあ確かに締め切りまでの時間に対して無茶なレポートを先生に要求されてたけどね。ミナキ君の処理能力を過信しすぎだよね」
「お、落ち着けマツバ…」
「あ、そういえば挨拶してないでしょう」
「あ」

胡桃色の髪の人がこちらに向き直って口を開く。

「私は六年学者科のミナキだ。改めてさっきはありがとう、助かったぜ」
「僕は六年戦闘科のマツバだよ。よろしくね」
「俺は一年育成科になるトウヤです」
「僕は同じく一年の、学者科になるチェレンです」

俺達が挨拶をすると、いや、チェレンが挨拶するとマツバさんがスッと目を細める。

「キミ、学者科なの?」
「はい、そうですが…」
「ふうん。」
「マツバ、どうしたんだ?」
「チェレン君だったね、キミは戦闘科にしなさい」
「「え?」」



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