おはようございます



今日は入学式前の寮入りの日である。トウヤは自宅のベッドで目覚めて時計を見てから驚く。遅刻ではない。

「予定より一時間前に目覚めた、だと…?!」

トウヤはそろそろと起き上がり、ブレザータイプの制服に着替える。最後に緑色のネクタイを身につけた。きちんと学生証もあることを確認して、リビングに向かった。

「あら早いのね」
「母さん!どうして、」
「しばらく一緒に食べられなくなるから、今日の朝ごはんは少し豪勢にしようと思ったの。荷物は確認した?」
「うん。」
「寮の部屋に入ったらすぐに荷解きするのよ。遅くなったけどおはようトウヤ、さあ顔を洗ってらっしゃい」
「わかったよ、おはよう母さん」

顔を洗い、リビングで対面式のキッチンに立つ母と会話をしながらテレビのニュースを見ていると父が起きてきた。全員で早めの朝食を済ませて、父が出勤する。

「トウコちゃんのお父さんが送ってくださるのよね」
「うん。チェレンとベルと俺とトウコをね」
「本当に助かるわ。正海刻学園って本当に大変な場所にあるもの」
「公共交通機関は本数が少なくて学生で混むらしいし、フェリーはちょっと高いしね。車が一番だけど道程がなあ」
「森にまっすぐに道路が通ってないのは何でなのかしらね。あそこはもはや樹海よ」
「コンパス効かないから?」
「あそこの木々は圧倒されるわよ。そうだ、ダイケンキのごはんの後にでもダイケンキを水浴びさせてあげたらどうかしら。今日からしばらくは慌ただしいでしょう。」
「あ、そっか。でも制服濡れるよなあ」
「そこは上手くやりなさい」
「はーい」

トウヤはダイケンキの入ったボールとポケモンフーズを持って外に出た。



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