今日の修行を終えて、誰かとの約束があるわけでもなくぶらぶらとケルト狭湾を歩いていると広い花畑に出た。こんな場所あったっけと思っていると、花畑の中央に数人が居た。あまりに広い花畑の、中央に誰がいるかなんて分からなくて、気になったのでがさがさと花畑を進む。数メートル歩くと誰が居るのかわかった。モリガンとブリギッド、ネヴィンにヴァハだ。

「…あ、クーフーリン」

真っ先に俺に気がついたのはモリガンだった。その手元には何時もの人形と、作りかけの花輪。それはとても丁寧に作られていた。

「聞いてくれクーフーリン!花がちぎれるんだ!」
「は?」
「ネヴィンは力を込めすぎなんですよ」
「そういうブリギッドは茎の長さどうしてそんなにバラバラなんだ?」
「ヴァハ、魔法使っちゃ、だめ…」
「しかしその方が綺麗に出来る…」

どうやらモリガン以外は、どうも細かい作業が苦手らしい。モリガンがか細い声で他の三人に花輪の作り方を教えている。花畑へ射す日光は柔らかく暖かい。ほらクーフーリンも作ろうと、ネヴィンが俺を呼んだ。何と無く断る気にならなくて、モリガンの横に座る。するとブリギッドがたどたどしく花輪の作り方を説明してくれた。モリガンはヴァハとネヴィンの花輪にアドバイスをしている。その伏せがちの目の睫毛がきらきらと太陽の光で輝いていた。

「クーフーリン、聞いてます?」
「あ、おう。こうすりゃいいんだろ」
「そうです!」

花輪の作り方は単純で、だからこそ丁寧に作らないと全てが歪になってしまう。自分は器用ではないから、少々歪な花輪が出来上がってゆく。ふと、モリガンを見るとブリギッドと会話していた。その目はとても優しくて、そこにネヴィン達が加わってとても優しい雰囲気で、俺はぼんやりと愛おしく感じたのだった。





花輪の園
(中心のきみが愛おしい)

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