クロスオーバー/名探偵コナン×原神/天才のパレィド・二


 一等星。その燃え滓。

「あの星、強く光ってるだろう」
「うん」
「あれはね、もう死んでしまった星なんだ」
「え?」
「最後の輝きを、その光を、僕らの目が受け取っているんだ」
「そうなんだ」
「そう。これってとても美とロマンに溢れてると思わないかい?」


天才のパレィド・二


 千冬はただ、目を充血させて立っていた。メラックが大剣で殴って気絶させた安室は、そっとその場にメラックが寝かせた。カーヴェは秋香の手に、その神の目に、触れたままだ。
「神の目が憎いかい」
 カーヴェの問いかけに千冬は叫ぶ。
「憎い! それさえ無ければ、東弥は死ななかった! 神の目の研究をしなければ!」
「そうだろうね。あの強い焼け跡は、炎の神の目の仕業だろうとしか思えない。油は神の目を保存していたのかな」
「油なら錆びない。東弥はそう言っていた!」
「ふむ。だとして、どうしてそこまで神の目に春川君は執着したのかな」
「私たちは郷土を研究していた。だから、東弥は昔から神の目に憧れがあった。そんな、そんな中で秋香に神の目が宿るから!」
「なるほどね。さて、秋香さんは春川君の研究で元素を暴走させてしまった。春川君は責任を取って自死した。間違いないね?」
「違う! 全部、全部神の目なんかが! そんな物を秋香が持つから! 秋香が、秋香が殺したんだ!」
「論点をすり替えてはならない。あなたは大学生、研究者なのに、ロジックを失ってしまった。殺すなら殺してみればいい。その前に、僕を殺せたら、ね」
「ふざけるな! 秋香を、殺す!」

すっ

 千冬がどさりと倒れる。包丁はその場に落ちた。コナンが麻酔銃を仕舞いながら言う。
「よく聞き取れなかったけど、これでいいんだね」
「うん。ありがとうコナン君。推理は当たってたんだね」
「まあね。恋愛絡みであれば消去法ってところ。そうじゃなくても、証言からして、炎への印象が深い方が春川さんの死にショックを受けてるんじゃないかなって」
「そうか。春川君と千冬さんの関係に調査が入ればすぐに真相は明らかになるね」
「うん。秋香さんの発狂が問題だけれど」
「それならしばらくこの赤い石を身につけていれば治るよ」
「そうなの? ならいいや」
「さあて、コナン君はここまでどうやって来たのかな?」
「昴さん」
「あの人か。博士は?」
「もちろん噛んでる」
「灰原さんは?」
「灰原は呆れてたけど」
「情報収集させた、と。ちゃんとお礼を言うんだよ?」
「はあい」
「じゃあ行こうか。安室さんはどうしよう?」
「カーヴェさん非力だもんね。昴さん呼ぼっか。いや、やめよ。えっと、起こす?」
「パニックになるんじゃないかな」
「カーヴェさん……」
「あー、メラックの補助があれば運べるよ」
「いつも思うけど、メラックって何なの?」
「万能スマホ」
「訳がわからないんだよね」
 というわけでメラックの力を借りて、カーヴェは安室を病院の裏手に運んでから、コナンと共に工藤邸に帰ったのだった。なお、工藤邸では沖矢がシチューを作って待っていた。


・・・


タイトル:天才のパレィド・二
ジャンル:クロスオーバー/名探偵コナン/原神
要素:火事/強盗/殺人/事件、なんちゃってミステリー風味、戦闘はある、不可思議、元素はある

カーヴェ…建築デザイナー。休暇として一年前から日本に来ている。
メラック…スマホ。

江戸川コナン…小学生。
沖矢昴…大学生。
安室透…探偵。喫茶ポアロのアルバイト店員。

春川東弥…22歳の男子大学生
夏野優希…22歳の男子大学生
松井秋香…22歳の女子大学生
金剛千冬…22歳の女子大学生

アルハイゼン…???
ナヒーダ…???

- ナノ -