クロスオーバー/ブルーロック×原神/世一君とカーヴェさん

潔世一がテイワットに異世界転移してカーヴェの世話になる話

※ブルーロック履修途中です。
※ブルーロック二次創作初書きです。
※推しと推しを会わせたいだけです。
※潔世一とカーヴェが中心です。
※生産ラインが3L対応のCPオタクしてるので、CPのように見えるシーンもあります。
※見切り発車です。何にも決めてません。


 潔世一はサッカーをしている。
 じゃあ、サッカーのない世界で、潔は何を取り柄とすればいいのだろう。
 この、欲求を、渇望を、エゴを、どうすればいいのだろう。
 潔は知っている。その作品を。

 原神

 そのゲームを知っている。

「あなたは、大丈夫かい?」

 そうして伸ばされた手が、確かに成人男性なのに、潔はその瞬間、星を見たと思った。

 彼はカーヴェというらしい。潔は原神というゲームで遊んだことがないが、CMなんかはよく見かける。カーヴェのことは全く知らないが、風景で察した。
 何でゲームの中に入ってしまったのか。やたらとリアルで変な夢だと思う。潔はまずカーヴェに家へと連れてこられた。
 どうやら二人暮らしをしているらしい、普通なら連れてこないのだけど、とカーヴェは丁寧に言った。
「迷子にしては様子がおかしいからね。あいつなら何か分かるかもしれない」
「あいつ?」
「ルームメイトさ。ええと、ヨイチは何か食べるかい?」
「そんな、悪いです」
「いいから。事情があるんだろう?」
 でも、と言いたいのに、カーヴェは軽くピタでもと笑っていた。ピタってなんだ。

 カーヴェが作ってくれたピタを食べる。味付けがなんかこう、熱いアジア圏みたいだなと思う。潔はそういうことは分からない。
 夕方になるとルームメイトが帰ってきた。カーヴェはその人をアルハイゼンだと紹介した。アルハイゼンは潔を見ると、カーヴェに厄介事を持ち込むなと文句を言っていた。カーヴェは困ってたんだからと反論する。
「見たところ降臨者の類か?」
「そうだろうね。服装も顔立ちも、スメールではとても目立つよ」
「顔立ちなら稲妻が近そうだ」
「そうだね。あれ、ヨイチ、何か気になったかい?」
「あ、いえ、別に」
「カーヴェ、彼をどうするんだ」
「保護かな」
「然るべき機関に?」
「そんなわけないだろ! 僕が責任を持つ」
「人間一人を、どうやってきみの立場で責任取るつもりだ」
「そ、それは」
「俺は反対する」
「僕はヨイチの身の安全を確保したい。だから、せめて、旅人にでも」
「ああ、旅人ならふさわしいか。では手紙を書くといい」
「分かってるよ! ごめんな、ヨイチ」
「いえ、別に。なんかリアルだなあって」
「リアル?」
 そうかなとカーヴェは首を傾げた。アルハイゼンはさっさと自室に向かったらしい。潔はもごもごとピタを食べる。美味しい。

 夕飯を食べて、風呂まで借りて。服も借りて。潔はカーヴェの部屋で眠ることになった。
 カーヴェの部屋は模型や図面がたくさんあるが、すっきりと整っていた。ベッドはやけに片付いている。基本的に整理整頓が好きなようだ。
「同じベッドでごめんね。でも他にベッドがなくて」
「構わないです。あの、ソファでも良かったのに」
「ソファに寝かせられないよ。ソファなら僕が」
「どうしてですか?」
「だって、お客様だし」
「カーヴェさんたちの家なのに」
「だからこそさ」
 カーヴェはくすりと笑って、そっとベッドに入った。おいでと招かれて、そのベッドに入る。二人で寝ても大丈夫そうだ。カーヴェはうとうととしていて、そんなカーヴェを見ていると、潔はすんなりと眠っていた。

 翌朝。カーヴェは既にベッドにはいなかった。潔はカーヴェが用意したらしい服に着替えて、カーヴェの部屋を出る。
 アルハイゼンは食後のコーヒーを飲んでいた。カーヴェがおはようと笑う。
「朝ごはんを用意するよ」
「あ、お願いします」
「俺はもう行く」
「行ってらっしゃい」
 カーヴェが見送るのを眺めて、潔は席についた。

 朝食後、カーヴェは仕事をするらしい。建築デザイナーなのだとか。部屋の模型や図面に納得した。
 潔は、カーヴェのいる書斎で過ごす。てきぱきと図面や書類と向き合うカーヴェは、休憩にと淹れたコーヒーを手にくすくすと笑った。
「まるで借りてきた猫みたいだね」
「まあ、実際、知らない家だし……」
「丁寧な言葉はいらないよ。僕もアルハイゼンも気にしないさ」
「でも、大人だろ」
「あなたはそう気にするようには見えないな」
「え?」
 カーヴェは楽しそうだ。
「僕は、僕なりに、人を見てるからね」
 この人に、潔はどう見えているのだろう。

 昼になると旅人と呼ばれてる少年と空中に浮かぶ子供がやって来た。あれこれカウンセリングのようなものを受ける。
「本当に異世界から来たんだね」
「テイワットのこと何にもしらないんだな!」
「ええと、まあ」
「夢だと思う?」
「たぶん、夢だろうなって」
「夢じゃなかったら何だと思う?」
 旅人の質問に、潔は答えた。
「気が狂ったのかなって」
「なるほど」
 旅人は困った顔をしていた。

 潔にとって、ここは夢だと思った。だからこそ、安心していた。きっと何事もないのだ、と。

 カーヴェが保護者役をすることになり、二人の家に転がり込むまま話がまとまる。
 やけにカーヴェは潔のことを気にしてくれる。旅人曰く、善良な人に優しいから、らしい。潔は善良なのだろうか。

 そうして、潔のテイワットの日々は始まり、カーヴェと一緒にスメールシティの中を歩いたりした。慣れないものばかりで、潔は本当に自分が未熟だと感じた。

 カーヴェは忙しく働いていた。借金があるとか、親切すぎるところがあるとか、酒ですぐに酔っぱらうとか、弱みの多い人だ。でも、カーヴェなりに、人を見ている。潔は善人だと思った。良い人なのだ。たぶん。

 だから、ある日、ボロボロになって帰ってきたカーヴェに、潔は慌てた。大した怪我じゃないと笑ったが、そうではない。潔はカーヴェを大切に思うから、カーヴェを助けたいと思った。

 そう、これは、ある種のエゴなのだ。

 他人に干渉すること。食いつくこと。飲み込むこと。全部、潔の得意とするところ。
 カーヴェの手当てを、慣れないながらにして、宣言した。
「俺にできることをしたい」
 きらり、星が光る。カーヴェは笑っていた。
「ヨイチならできる」
 カーヴェは正しく星である。だが、カーヴェの本質は星などという、羨望の的に収まるだけものではない。食らいついて、手を掴んで、引き寄せて。全部飲み込む。カーヴェの真理を潔は手に入れる。
 彼の弱いところは、強いところだ。

 潔はこのテイワットがどういう世界かを旅人とパイモンに問うた。旅人達がカーヴェとアルハイゼンに助力を求めに来ていたのだ。
 旅人達テイワットのことを教えてくれた。出来る限りの情報を詳しく、冷静に教えてくれた。
「ヨイチは必ず帰ることになるよ」
「なんで?」
「ヨイチは意思があるから」
 旅人の言葉に、潔は黙る。今の言葉をどう分析すればいいのか。かちかちと考える。

 潔世一は正しいとか間違いとか、そういったことに意味がないことを知っている。
 生き残るには、他人を喰らう必要がある。
 じゃあ、カーヴェは?

「どうかしたかい?」

 今日もカーヴェは笑っている。潔は、どうやったら、この世界で存在を証明できるのだろう。


・・・

潔世一
・気がついたらテイワットにいた。
・原神というゲームがあることは知っているし、今は原神というゲームの中にいることも分かっている。だが、現実感が薄い。
・カーヴェに保護されている。

カーヴェ
・潔世一を保護した。正式な書類等々は何もない。
・潔よりフィジカルで劣っているが、神の目所持者なので潔より丈夫ではある。神の目所持者にしては弱め。
・天才と呼ばれるのは嫌い。

アルハイゼン
・潔世一の生活費も負担しているが、子供な上に神の目もないので特に気にしていない。保護は妥当。
・潔のことは特に興味がないのでごく普通に接している。

旅人とパイモン
・空。
・旅人は、潔は必ず、来た時と同じように唐突に帰ると察している。
・パイモンは潔にあれこれテイワットのことを教えている。

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