タイトル:クピドとミルクパズル
ジャンル:クロスオーバー/名探偵コナン/原神
要素:事件、ミステリー風味の何か、不可思議、元素はある

※サクサク進めるためにほぼ会話文です。

カーヴェ…建築デザイナー。休暇として一年前から日本に来ている。
メラック…万能スマホ。元素で動いてる。

江戸川コナン…小学生。名探偵。不可思議(元素も魔力も)を無効化する。
沖矢昴…大学生。FBI。赤井秀一。カーヴェはFBIのもの。
安室透…探偵。喫茶ポアロのアルバイト店員。公安。バーボン。降谷零。カーヴェは日本人。

アルハイゼン…FBIの非戦闘員。カーヴェは人間。

毛利蘭…高校生

灰原哀…小学生

ナヒーダ…???

旅人…双子揃っている。パイモンもいる。元素案件担当。七神の居場所を把握している。

七神…ナヒーダはFBIと共にいる。ウェンティはドイツ在住。他は現在不明。どっかにいる。

魔女界…まじ快要素。カーヴェ母はイギリス魔女。

愛の種…カーヴェの性質と魔女の血と元素が噛み合ってしまった故の幻覚、幻想、催眠。探偵、神の目持ち、魔女には効きが悪い。名探偵には一切効かない。犯罪者、心の不安定な者の深層心理に巣食った光であり、闇。寵愛の呪い。庇護の呪い。それらの牙は全て、カーヴェへと向き、蝕み、しかし巡り巡ってカーヴェの益となる。なお、カーヴェに愛の種の意図は一切ないので認識に齟齬がある。


・・・


 真っ白なパズル。

 仕掛けなんてひとつもない。

 ただ、真っ白。

 そのまろい接続部。

 触れて、引っ掻いて、引き裂いて。

 暴力装置に成り果てたボクを。

 いつか、daleかがai→kowaしてくれる。

 それを、ひどく、katu望→望nnでる。


・・・


 ひどく頭が痛い。痛み止めを飲み込んだ。
 視界にうつるのいつもの白い部屋だけだ。


・・・


 頭が痛い。カーヴェは痛み止めを飲んだ。
「常用するものではない」
「あっ、僕の薬箱!」
「飲み過ぎだ」
「たまたま頭痛がひどいだけだ」
「そうか。もうシート一枚で、半分もない」
「だから何だよ」
「何があった」
「何もない。あえて言うなら、君が来た」
「そうか。それ以外だ」
「他に? 愛の種とやらは分からないことだらけだな」
「その件は悩むだけ無駄だ」
「もうばら撒かれた洗脳だからって? そんなことは分かってる。でも、僕が居なければ」
「存在の否定か」
「まあね。僕の母さんが魔女だって聞いても、何にも実感はないけど、でも、僕を構成する体、血液、全ては魔女界と元素側の合の子だ。物質的に、どうにもならない。僕は、呪いを世界中にばら撒いたんだろ」
「そこまで言っていない」
「でも、僕がこの世にうまれなければ」
「君によって救われた人間の顔を思い出せ」
「思い出せない! 僕は誰を救えた? 誰も、」
「少なくとも、俺は君と再会できたことに感謝している」
「そんなの、君の勝手だろ」
「感謝と救いはよく似ている。今の君はストレスがかかり過ぎている。休め」
「僕なんかに何ができるって言うんだ」
「いくらでも出来ることはある」
 アルハイゼンはカーヴェの目元を手で覆う。
「寝ろ」
 カーヴェはすこんと意識を失った。

「愛の種が、どこかで芽吹いたな」
 調べなければ。アルハイゼンは意識のないカーヴェをソファに寝かせて、スマホを手にした。
「クラクサナリデビ様、お時間よろしいでしょうか」
『ちょうどよかったわ。知らせようとおもったところよ』

 場所は日本。連続殺人が起きているであろうという、預言だ。

『犯人まではわからないわ』
「カーヴェには伝えないでおきます」
『てきせつな時に伝えてちょうだいね』
「……カーヴェに負荷がありすぎる。彼はひ弱だ」
『だとしても、何も知らせないのは、あなたたちのこうかいになるだけよ』
「……」


・・・


 喫茶七番目。アルハイゼンと蘭がテーブルにつく。
「カーヴェさんに伝えたいことはたくさんあるんです」
 蘭が言う。
「いつも見守ってくれてありがとう。離れていても、手紙を書いてくれてありがとう。新一のこと、一緒に考えてくれてありがとう」
「言えばいい」
「言えないです。カーヴェさんはきっと、困ってしまうから」
「言った後悔と言わなかった後悔がある」
「言ってしまえばいい、とは思います。でも、私、カーヴェさんを困らせたくないんです」
「あれが困ったところで、貴女には何ら影響はない」
「ほんとうに、そう思いますか」
 蘭は続ける。
「私、新一とたくさん喋りたくて。気持ちもっと伝えたい。でも、新一の邪魔はしたくないです」
「そうか」
「新一は素直に文句を言ってくれる。喧嘩だってしてくれる。離れていても、会えなくても、大丈夫だと示してくれる。そうであっても、私は新一の邪魔はしたくないと決めている」
「……」
「新一はこう言う時、ばーかって笑ってくれる。でも、カーヴェさんは、ただ、困った顔をするんです」
「カーヴェは君の恋人ではない」
「はい。言うなれば、お兄ちゃんです。お兄ちゃんだから、大人だから、言いたいことを全部飲み込んで、困った顔をするんです」
 私は、それがとても幸せで、とても悲しいのだと。
「カーヴェさんの愛情は苦しくなる」
 大好きなお兄ちゃん。新一との仲をずっと応援してくれる人。
 アルハイゼンは言う。
「カーヴェのそれはどうにもならない」
「はい」
「自罰意識だろう。カーヴェの父がどうして亡くなったか、知っているか」
「はい。新一と、私と、私たちの家族は、知ってます」
 蘭の言葉に、アルハイゼンは静かに言った。
「二度目は耐えられない」
 蘭は目を丸くする。アルハイゼンは何でもない声をしている。
「人間とはそういうものだろう」
「そう、ですね。二度目はきっと、怖くて恐ろしくて、仕方ない。カーヴェさんに、もし、二度目があったら」
「……」
「その時は、私も新一も、きっと、アルハイゼンさんも駆け付ける」
 そうですよね。蘭は笑った。ただびとの笑みに、アルハイゼンはそれでいいと頷いた。


・・・


 カーヴェは喫茶ポアロにいた。
「ぼうっとされて。どうしたんですか、カーヴェさん」
「あーうん。安室さん、すまないね。ちょっと痛み止めを飲み過ぎてるみたいで」
「用法用量はちゃんと守ってくださいね」
「そうするよ。あ、そうだ。安室さんに渡したいものがあったんだ」
「え?」
「ええと、これ」
 カーヴェはカバンの中から小箱を取り出した。
 安室はその小箱を受け取ってまじまじと見つめる。
「開けても?」
「どうぞ」
 するりと蓋を開くと、中には小瓶があり、砂糖菓子が詰まっていた。
「これは、金平糖ですか」
「安室さんが食べないなら、梓さんにでもおあげ」
「はあ」
「綺麗だろう?」
「ええと、」
「シュークリームとロールケーキのお礼だよ」
「お礼だなんて。押し付けただけなので、もらえません」
「貰いっぱなしは僕が嫌なんだ。受け取っておくれ。受け取るだけでいい」
「じゃあ、」
 安室は金平糖の入った小瓶の蓋を開けて、手のひらに数粒出す。そして、一粒を摘んだ。
「カーヴェさん」
「え?」
「口を開けてください」
「あ、」
 口の中に落とされた甘露。カーヴェは、安室が指を引き抜いてから、口を閉じて、ころころと金平糖を転がした。
「なんで?」
「本当にこんなお返しはもらえないんです」
「でも、」
 大人に怒られた子供のように、目を揺らすカーヴェに、安室は優しく言う。
「会いに来てくださるだけで充分なので」
「……無欲だなあ」
「僕は貪欲ですよ」
「ええ?」
 安室は金平糖の小瓶をカーヴェの手に戻した。
 素直に受け取って、カーヴェはまったくと口にする。
「今回は諦めておくよ」
「そうしてください」
「だから、安室さんも贈り物はしないでおくれよ」
「それは約束できませんねえ」
「なんで?」
 あははと笑う安室に、カーヴェは仕方ない子だと金平糖を転がした。


・・・


 コナンはカーヴェの家に来ていた。アルハイゼンは自室で仕事をしているらしい。定時はまだなのだとか。
「コナン君どうしたのかな?」
「殺人事件だよ」
「ニュースになってたね」
「カーヴェさんには、灰原の手伝いをしてほしい。でもさあ、」
「うん?」
「カーヴェさん、なんか顔色悪いな」
 じとりとコナンがカーヴェを見る。カーヴェはバレたかと苦笑した。
「どうにも眠れなくてね」
「またストレス?」
「なんでそこまでバレたかな」
「カーヴェさんは昔から、ストレスがすぐ体に出るから」
「うう」
「その顔で蘭に会ったら大事になる」
「そこまで?」
「不眠と、頭痛と、貧血?」
「ばれてる……」
「無茶すんなよ」
「分かってるよ」
 でも、悩んでしまう。カーヴェのぼやきに、コナンはふうんと口にした。
「カーヴェさんは考え過ぎ。それに、ストレス溜まるとすぐ自分で自分を苦しめるだろ。それも良くない癖だ」
「うん」
「どうにもならない癖なんだろうけどさ、カーヴェさんが苦しむと、カーヴェさん自身よりずっと苦しむ人がいるんだ」
「そうなのかな」
「俺も蘭も、カーヴェさんが苦しんだら、すっげえ苦しい」
「うん」
「他にもいるだろ、そういう人」
「分からなくなってる」
「今はな。後から思い出すだろ」
「たぶん」
 苦笑するカーヴェに、頑固だなあとコナンは笑った。


・・・


 殺人事件。

 灰原はこくりと紅茶を飲む。
「あの、灰原さん、」
「カーヴェさんはこっちに近寄らないで」
「どうして?」
「休んでいて頂戴。江戸川君に聞いたわ。ストレスなんですって?」
「ストレスが溜まってはいるけど」
「私の手伝いなら、ケアをしてくれればいいの。ソファに座っていて」
「でも、」
「同居人さんがストレッサーなの?」
「違う!」
「同居人さんが来てからすぐに体調を崩したじゃない」
「本当にあいつのせいではないんだ」
「そう」
「信じてないね」
「仕方ないでしょう。カーヴェさんから悪い人ではないと聞いているけれど」
「アルハイゼンは性格が悪いけど、悪人ではないから」
「信頼してるのね」
「普通だよ」
「そうかしら」


・・・


 白い部屋。頭痛がする。


・・・


 痛い。痛い。
「あ、うあ、」
 工藤邸。掃除中に、がたんっと床に崩れる。とんとんと沖矢が駆けつけた。
「カーヴェ君」
「ひゅ、あ、」
「呼吸をするんだ。ゆっくり、ゆっくりと、いいね」
「は、あ、ぐ、」
「無理はしなくていい」
 沖矢がカーヴェの背中を撫でて、落ち着かせた。

「ただのストレスなのか?」
「単なるストレスです。ストレスに弱くて」
「カーヴェ君の功績を見るに、そうは思えないが」
「えっと、」
「ストレスの原因に心当たりは?」
「あります。はっきりしてます。だから、本当に、僕が考え過ぎているだけなんです」
「ふむ」
「沖矢さんはどうか探らないでくださいね」
「何故なのか、聞いても?」
「恐れていることを、話してしまいそうで、怖いんです」
「そうか」
「もう掃除したいところは済んだので、すぐに帰ります」
「少し休んでいくといい」
「家に帰りたくて」
「途中で倒れる可能性があるだろう?」
「無いとは言い切れない、かも」
「アルハイゼン君を呼ぶかい?」
「それだけはやめてください!」
「大声を出すとつらいだろう」
「なんで分かるんですか……」
 カーヴェはリビングのソファを借りますと、渋々言った。


・・・


「江戸川コナン」
「どうしたの、アルハイゼンさん」
「カーヴェには言わないと約束してほしい」
「内容によるかな」
「これは殺人事件ではなく、連続殺人事件だ」
「それをどうしてカーヴェさんに伝えたくないの?」
「カーヴェが気にしているからだ」
「どこまで気にしてるの?」
「犯人とカーヴェは植物の根のように深く見えないところで繋がっている。カーヴェの不調はストレスもあるが、犯人の動向にも左右される」
「なんで犯人とカーヴェさんが繋がってるのかなあ?」
「カーヴェが間接的に犯人を助けた。その過去を犯人はよすがにしている」
「ふうん」
「カーヴェは気に病んでいる」
「まあいいや。全てを話す気はないんだね」
「君は子供だ。それに、カーヴェが大切にしたい人の一人だ」
「わかったよ。で、何を教えてくれるの?」
「名探偵に必要な情報だ」


・・・


 痛み。
 触れて、引っ掻いて、引き裂いて。
「あー、もう、」
 カーヴェは自宅のリビングのソファに寝転がる。発作のような激しい痛みに、やや違和感を覚えてきた。
 これは、本当にストレスなのか?
「そもそも、何で僕はこれをストレスによるものだと、思ってるんだ?」
 あれ、どうして。

━━ 「感謝と救いはよく似ている。今の君はストレスがかかり過ぎている。休め」

 あ、そうか。
「っ、アルハイゼン!」
 あいつは一人で、なにかを、また。


・・・


 アルハイゼンとコナンは高層ビルの中にいた。封鎖されたその階に、二人は踏み込む。
 そこは眩しいほどに白い。白い壁、白い床。汚れ一つない。
「通路は入り組んでいる」
「覚えていられる?」
「名探偵はどうだ」
「当然」


・・・


「蘭さん!」
「あれ、カーヴェさんどうしたの?」
「コナン君はいる?」
「いないけど、」
「分かった、ありがとう!」
「え?」

「灰原さん! コナン君の居場所わかる?!」
「カーヴェさん、ストップよ」
「なんで、」
「江戸川君の協力者が、貴方を巻き込まないことを条件にしているの」
「協力者ってアルハイゼンだろ? あいつ、また!」
「カーヴェさん?」
「一人で勝手に、」
「それは、」
「灰原さん。あなたに迷惑はかけられない」
「え?」
「ごめんね」
「カーヴェさん、どこに行くの?」
「あいつのところさ!」

「メラック、できるだろ」
ピポッ!


・・・


 アルハイゼンとコナンは白い部屋の奥、真っ赤に染まったベッドを見つめた。

 白い男がいた。

「あなたたちは、だれ」

 男がぐるんっと振り返った。


・・・


 だめだよ。


・・・


「この幻覚、錯覚、洗脳を施した愛の種という呪いはね」
『なにそれ』
「果たして不可逆であるのかしら」
『知らないし、興味もない』
「ふふ。いいの。それでね、もしも彼がその仕組みに気がついた時」

「彼は愛のシンボルになるの」
『……天使、とかってやつ?』
「あらいいわね」
『うわあ』


・・・


「は、あ、ぐ、あ、」
 犯人である男がもがき始める。コナンが駆け寄る。アルハイゼンは神の目を煌めかせた。
「ボク、が、ころ、した」
「そう。貴方が殺した。通り魔のような衝動的な犯行。御恐れたトリックも何もない。貴方がその手で人を殺して、隠れてきた」
「そう、だ、から、ボク、を、こわ、して」
「壊さない。貴方が心神喪失だろうと、精神鑑定に出されようと、ボクは必ず、貴方の真実を見つけ出す」
「え、あ、ボク、は」

「たす、け、て、」

「ふざけるなよ、アルハイゼン! 新一もだ!」

 飛び込んできたのは、原典の天使のように、過激な男だ。


・・・


 カーヴェは犯人に駆け寄る。そして血濡れの犯人を抱きしめた。
「あなたのしたことは許されない」
「う、ん」
「僕も許すつもりはない」
「あ、う、」
「でも、あなたの中に芽吹いた愛の種。その全てを僕が回収する」
「や、だ、やめ、」
「僕(呪い)とお別れしよう」
「うそ、う、そだ、」
「さよなら」
「う、あ、ああああ!!」
 犯人は大粒の涙を流した。その目にひかりが戻る。狂気に呑まれた男は、確かにその瞬間に正気を取り戻した。


・・・


 犯人とその犯人を補助していたグループが、まとめて逮捕された。

「カーヴェさん、服が真っ赤だよ!」
「着替えはあるか」
「あるわけないだろ! 僕は帰るから」
「俺が着替えを用意する。動くな」
「あーもう、頼んだよ」
「ねえ、カーヴェさん。どうしてボクらのいる場所がわかったの」
 コナンの問いかけに、カーヴェはきょとんとした。
「コナン君とアルハイゼンの場所ぐらい分かる」
 調べる方法はいくらでも、ね。
 すっかり調子を取り戻したカーヴェに、コナンは笑い、アルハイゼンは息を吐いた。


・・・


 喫茶ポアロ。からんと入ってきた人に、安室が振り向く。
「いらっしゃいませ」
「やあ、安室さん。今日はぜひ挨拶したいって人を連れてきたよ」
「え?」
 ほら、とカーヴェが促すと、その人が安室を見た。隼のように鋭い目だ。
「彼はアルハイゼン。僕のルームメイトさ」
「例の、アルハイゼンさんですか」
「そう」
 アルハイゼンは無言で安室を見ている。
「アルハイゼン、挨拶しろよ」
「俺がアルハイゼンだ。カーヴェが世話になっている」
「あっはい」
「カーヴェが起こす問題を貴方が解決できるとは思えない」
「は?」
「アルハイゼン!!」
「事実だ」
「言い方というものがあるだろ!」
「今、誤認は必要ない」
「ああもう」
「ええと?」
「すまない、安室さん。アルハイゼンは大体いつも無愛想だから」
「はあ」
「カーヴェに餌付けするのはやめろ」
「餌付けとか言うな!」
「今度は一人で来る。言っておくが」
 アルハイゼンは静かに言った。
「これの後輩は俺だ」
「おいっ!」
 安室は、ゆっくりと二人を見る。そして言った。
「いつでもいらしてくださいね」
 後輩なら僕もだが。そんな言葉を言外に告げる安室に、アルハイゼンは返事をせず、カーヴェはそこで張り合うのかと呆れていた。


・・・


 工藤邸。生家がもう取り壊されているカーヴェにとって、幼い頃から通っていたこの屋敷は第二の家である。カーヴェを大切にしてくれる工藤夫妻には頭が上がらない。恩返しも含めて、カーヴェは家のメンテナンスをかって出ている。
「カーヴェ君、顔色が良くなったな」
 現在の工藤邸の住人、沖矢がするりと言う。カーヴェは軽やかに返事をした。
「やるべきことが明確になったので」
「ほう。何かと聞いても?」
「ひみつです」
「ふむ」
 沖矢は眩しそうにカーヴェを見てから、そっと手を差し出した。不思議そうにカーヴェが手を伸ばすと、手のひらにころんと飴玉のようなものが乗せられた。白い包み紙だ。
「ミルクキャラメルだ」
「え、」
「元気を出すといい」
 まだ本調子ではないだろう。沖矢の言葉に、カーヴェは嬉しそうに笑った。
「ありがとうございます。お礼にコーヒーを淹れますね」
「助かる」


・・・


タイトル:クピドとミルクパズル
ジャンル:クロスオーバー/名探偵コナン/原神
要素:事件、ミステリー風味の何か、不可思議、元素はある

カーヴェ…建築デザイナー。休暇として一年前から日本に来ている。愛の種について気に病んだが、吹っ切れた。今後は愛の種の回収をしたい。探偵たちの斜め上から降りかかってくるタイプの厄災であり祝福。
メラック…万能スマホ。元素で動いてる。

江戸川コナン…小学生。名探偵。不可思議(元素も魔力も)を無効化する。カーヴェを巻き込みたくないアルハイゼンのことが少し分かってしまう。でもカーヴェを放置したら何が起きるか分からないというのもよく分かっている。板挟み。
沖矢昴…大学生。FBI。赤井秀一。カーヴェはFBIのもの。カーヴェの作る料理もコーヒーも躊躇なく食べるぐらいには信用している。アルハイゼンは優秀らしいとは聞いている。
安室透…探偵。喫茶ポアロのアルバイト店員。公安。バーボン。降谷零。カーヴェは日本人。アルハイゼンに後輩バトルを仕掛けられた。

アルハイゼン…FBIの非戦闘員。カーヴェは人間。単独行動しがちだが、使えるものは使う。名探偵だろうとコナンは子どもなので、現在は一線は引いている。蘭の人間らしい愛情を信じている。安室に後輩バトルを仕掛けた。

毛利蘭…高校生。カーヴェのこともお兄ちゃんとして深く愛している。新一とは別ベクトルで大切な人、家族。

灰原哀…小学生

ナヒーダ…???

旅人…双子揃っている。パイモンもいる。元素案件担当。七神の居場所を把握している。

七神…ナヒーダはFBIと共にいる。ウェンティはドイツ在住。その他は現在不明。どっかにいる。

魔女界…まじ快要素。カーヴェ母はイギリス魔女。

愛の種…カーヴェの性質と魔女の血と元素が噛み合ってしまった故の幻覚、幻想、催眠。探偵、神の目持ち、魔女には効きが悪い。名探偵には一切効かない。犯罪者、心の不安定な者の深層心理に巣食った光であり、闇。寵愛の呪い。庇護の呪い。それらの牙は全て、カーヴェへと向き、蝕み、しかし巡り巡ってカーヴェの益となる。なお、カーヴェに愛の種の意図は一切ないので認識に齟齬がある。
今回は愛の種によって事件が表層化した。愛の種がなければ事件がひっそりと起き続けていた。ただ、今回で愛の種への干渉と回収が判明。カーヴェが犯人に触れて回収宣言をすることで可能です。ただ、愛の種は犯人にとって何にも変え難い愛の幻覚のため、犯人は心神喪失になっていない場合、とても反発する。カーヴェを殺してでも、愛の種を守ろうとする。

- ナノ -