夢見る極楽鳥とワンダーランド!02/クロスオーバー/gnsn×twst
耐え難い地獄があるとして。カーヴェはふわりと浮いている。足元では花が蕾を作り、咲いては煌めいて消えていく。
この地獄は、きっと、他人(ひと)から見たら楽園だ。
極楽鳥花。そういう花を誰が知るというのか。
少なくとも、スメールにとっては、"そういうもの"は程遠い。
「初めまして、あなたは誰かな」
カーヴェは振り返る。呆然と立ち尽くす少年は、燃えるような髪をしていた。
夢見る極楽鳥とワンダーランド!
2:データと地獄
「そうか、あなたはイデアというんだね」
「え、何も言ってないけど?!」
「ここは夢だからね、何でもありさ」
花畑は花を溢れさせている。イデアはくらくらと目が眩みそうになりながら、青年を見る。バターのような、美味しそうな男だ。咄嗟にそう思う。
「イデアは好きな色はあるかい?」
青年は花輪を編んでいる。白、黄色、赤、青。手当たり次第に、花を連ねていく。よく見ると、イデアの知らない花ばかりだった。まるでゲームの中のような幻想的な花ばかりで、頭がくらくらとする。
夢だから、だろうか。これが彼のいう、夢だから何でもある、という事なのか。イデアは理解し切れなかった。
「そうか、あなたには馴染みがなかったかな」
出来上がった花輪は王冠のようだ。立ち竦むイデアに、青年はただ、花冠を差し伸べる。
「あなたの方式に従おう、イデア」
瞬間、花が煌めいた。
ゼロとイチの計算。長くて無機質な回廊。すべてが人工下で管理されている。
外は、遠い。
「目を隠したいかもしれないね」
青年は立ち上がって、手には小さな、おとうとのぬいぐるみを持っている。
「これがあなたのトリガーさ」
さあ、受け取ってくれるかい。イデアは誘われるままにぬいぐるみを手にした。懐かしい温度がした。
「オルト、オルトっ!!」
「その子はトリガーだから動かないよ。大丈夫、あなたの弟さんは夢の外にいる」
「早く、早く帰らないと」
「それがいいね」
それもまた、きっとトリガーだったんだよ。
花の香りがした。
「兄さんっ!」
朝だよ。オルトが言う。イデアはもそりと起き上がった。オルトが、歩いている。
「今日のやることはね……兄さん?」
どうしたの? バイタルは、寝ぼけてる?
「何だか変な夢を見た気がする」
「へえ、どんな夢なの?」
「バター色で、花の匂いがする夢」
それはまた、おかしな夢だね。オルトは首を傾げたのだった。