クロスオーバー/名探偵コナン×原神/天才のパレィド・終


 ほんとうは、誰ともさよならしたくなかった。


天才のパレィド・終


 喫茶ポアロ。早朝。安室が看板を出していると、おはようと声がかかった。安室はじっと体を硬直させてから、ゆっくりと振り返る。白いシャツのカーヴェがいた。朝日を浴びた彼は、幼い頃から美しかったけれど、大人になった彼はとても綺麗で、もっと美しかった。
「久しぶりだね。体調はどうかな?」
「はい。怪我もなくなりました」
「治ってよかった。メラックが力加減を間違える訳ないけれど、あなたの体調が良くなかったみたいだから」
「そんなことはないですよ」
「だって、僕に奇襲を許したんだ。あなたが、ね」
 にこりと笑うカーヴェの眉は下がっている。不安そうだった。心配そうだった。そんなのは、安室の、降谷の方だった。
「相手は、凶器を持っていた」
「うん」
「貴方は一歩間違えたら殺されていた」
「そうかもね」
「死んでいたかもしれない」
「たしかに」
「なのに、どうして?」
「さあ、どうしてだろう」
 僕はね。カーヴェは言う。
「どうしても、助けを求める人を放っておけないんだ」
 放っておかなくて、その人に何かあったら、僕は罪を感じる。だから、僕は僕のために。
「僕は僕が幸福に生きるために、人を助ける。それは、皆に対して平等なことだよ」
「あなたは、ずっと、そうやって生きて来たんですか」
「うん。知らなかったかい?」
「はい」
「あなたがそう言うなら、そうなんだろうね」
 じゃあまたね。カーヴェが離れていくのを、安室はただその背を見ながら言った。
「もう一度、呼んでください」
「ん?」
「僕のこと、呼んで」
 ねえ。貴方は。
「どうしたんだい、ゼロ」
 こころの、やわいところが、グシャリと潰れて、涙ばかりが流れて仕方がなかった。


・・・


「あいつは何してるんだ」
「あら、感動の再会ではないのかしら?」
「相手は日本の公安ですが」
「いいのよ。わたくしたちに何事もなければね」
「仰る通りです。ですが、カーヴェに何かあったら然るべき対処をしなければならない」
「あら、心配性ね」
「そうは言ってません。あいつがひ弱なだけです」
「そうね、早く日本に行きたいわね」
「……はい」


・・・


タイトル:天才のパレィド
ジャンル:クロスオーバー/名探偵コナン/原神
要素:火事/強盗/殺人/事件、なんちゃってミステリー風味、戦闘はある、不可思議、元素はある

カーヴェ…建築デザイナー。休暇として一年前から日本に来ている。草の神の目持ち。
メラック…万能スマホ。元素で動いている。

江戸川コナン…小学生。名探偵。
沖矢昴…大学生。FBI。赤井秀一。
安室透…探偵。喫茶ポアロのアルバイト店員。公安。バーボン。降谷零。

春川東弥…22歳の男子大学生→神の目研究により死亡
夏野優希…22歳の男子大学生→善良な学生
松井秋香…22歳の女子大学生→神の目を取り上げられて発狂。のち、暴走し、火事を起こした。
金剛千冬…22歳の女子大学生→春川東弥と恋仲。神の目の不十分な知識により、秋香を恨んで殺そうとした。

アルハイゼン…???
ナヒーダ…???

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