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テイワットにトリップしたら審神者スキル持ちでした!10


夢主
特に何の特徴もないと自称する女性。ゲーマー。日本人。そこそこゴリラ審神者。呪われし相模国サーバー民。推しは主に獅子王、愛染国俊、大包平。初期刀は加州。初鍛刀は秋田。
この度、テイワットにトリップしたら審神者として刀剣男士を召喚できるようになっていた。何故??

獅子王:近侍。鵺は四次元ポケット。
愛染国俊:懐刀。賑やかなのが好き。
大包平:器用個体。料理できる。
髭切:兄者。警戒心強め。獅子王兄さん/ひらくん呼び。
一期一振:兄としての側面が強い。愛染に懐いた。
毛利藤四郎:聞き上手。大包平さま呼び。
膝丸:弟。大包平と仲良し。

カーヴェ
姫鶴?
ごこ?
小豆?

タルタリヤ
秋田藤四郎:初鍛刀。風元素。
加州清光:初期刀。炎元素。

胡桃
鶴丸?
物吉?

ディルック
薬研:二振り目。エース。
厚:頼れる男前。
後藤:背が伸びてほしい。
信濃:懐!!秘蔵っ子。

ガイア
三日月?

神里綾華
国行?
蛍?

バーバラ
白山?

ジン
福島?


すべての神々→審神者
その"核心"に触れる存在。
審神者は刀剣の魂を励起させられる。
励起とは、元のエネルギーが、より高エネルギーに移行する状態である。


・・・


 リサの弟子というのか、後輩というのか。魔女の弟子など、彼女に当てはまるのか。リサにとっては彼女はあまりにも神聖な生き物だった。
 語り部。物を語る人。ミルクを淹れる前のブラックティーみたいな髪はいつも艶やかだ。目も同じ色だが、こちらは覗き込むと宇宙のように煌めいている。いつも清潔な白いシャツを着ていて、胸元にはループタイを身につけている。その石は、神の目に似た何か、だ。稲妻に咲く桜の色をしている。彼女には元素が無い。かと言って虚無ではない。彼女には元素ではない何かが巡っている。それを、リサは危険だと思っている。彼女自身は害が無い。でも、彼女の肉体も、精神も、心も、全てが、この世から逸脱している。
 学者達に見つかってはならない。せめて、その身を守れるようになるまでは。
「リサさん、こちらの本の検分は終わりました」
「ありがとう。次はこちらの山を頼めるしから。多いけれど、数をこなせば作業が早くなるから」
「はい」
 語り部はするすると本をなぞる。本に触れる時、彼女は必ず手袋をしている。真っ白な布の手袋は、念のため持ち歩いていたらしい。すでにモンドで新たに買い集めて、数点の手袋を清潔に保ちながら使っているらしかった。
 古い書物の扱いに、彼女は特別、長けている。リサは彼女の本が好きだという言い分がよく分かった。中身だって好きなのだろうが、それよりも、本そのものを愛している。そう、物、を愛している。それこそが、彼女の異常であるが、特徴であり、秀でた才能だとリサは思う。
 彼女が引き連れる刀剣男士は、物だという。物の魂を励起させたもの、だという。リサに雑談混じりに語ってくれたそれは、到底信じられない物語のようでありながら、刀剣男士達を見れば真実だとわかる。彼らはあまりに見た目にそぐわない。人ではない。生き物ではない。その方がずっと自然な認知をしている。認知の歪みかとも思ったが、それにしては彼らは共通認識を持ち過ぎている。どうしたって、彼らは物であり、語り部は審神者という主人、らしい。いや、主(あるじ)だったか。
「リサさん、落丁がありました」
「あら、こっちで確認するわ。いつの本?」
「ええと……」
 語り部が述べた年代に、リサはそれならと知恵の殿堂に向けて書類を書くことにした。


・・・


 ただの社畜なんだが。私は息を吐く。少しだけと思ってモンド城の外に出たらすぐに攫わられたのである。相手はアビス教団の魔物達だ。何やら箱に詰められて運ばれている。ただ、その扱いはやけに丁寧なので気持ち悪い。乱暴にされたら相応の態度を取ろうと思えるが、こう丁寧に、繊細なガラス細工みたいに扱われても困る。
 で、何なんだと思ってたら、声がした。
「やっときた!」
「大丈夫ですか、主さま」
「主、よかった」
「ああ、獅子王、毛利くん、加州!」
 なるほど。二振り目の子達だ。
「こっちにはとりあえず三振りいるよ」
 加州が教えてくれる。二振り目の三振りは、私の趣味で集めていた、遠征要員だった。あまり戦闘に出してあげられなかったのだが、遠征も立派な出陣だと不思議そうに言われてしまった。そうなのか。
「とにかく連絡取らなきゃって思って。だから拉致しちゃった」
「お怪我はありませんか?」
「うん。大丈夫。でも、拉致はオオゴトになるよ?」
「そうなんだよなあ。とりあえず今回きりってことで!」
「そうしてね」
 とりあえず獅子王と加州と毛利くんに手入れをして、怪我を直す。また、怪我をしたら本丸に来るといいよと伝えた。
「モンド城から隠れた道もちゃんとあるからね」
「そっか。でも、主が俺たちを忘れてなくて良かった……」
「忘れるわけないでしょ。遠征の要項満たすの、大変なんだから!」
「全員極にしちまうとレベリングがなあ」
「そうそう」
「主さま、少しだけでもお話していただけませんか?」
「お話? 構わないよ」
 じゃあ、一振り目たちが迎えに来るまで。そう言って、私は呑気に語り部として物語を語り始めた。


・・・


「攫われた?!」
 ウェンティが声を荒げる。ディルックが告げる。
「アビス教団に連れ去られたところを目撃されている」
「いつもの仲間たちはどうしたの?!」
「……問題はないと」
「信じられない!」
 ウェンティの隣に、旅人もいた。旅人はすぐに行こうと、立ち上がる。すると、こつこつと音がした。
「こんにちは、こてんぐですよ」
 にこっと今剣が笑った。

「あるじさまのけはいをさぐるなら、ぼくらがてきしてますから!」
「そう言っておいて、アビス教団に主様とやらが攫われたんだが?」
「だって、こんかいはきけんがなかったので」
「意味分かんない」
「ひみつですよ、ウェンティさま」
 そおれと今剣は跳ねる。道中では刀剣男士たちが代わる代わる付き添う。今剣だけは旅人達とずっと一緒にいた。

 そこは小さな廃墟だった。語り部の言葉が聞こえる。
「そうして女神様は言うのです。あなたが落としたのは……」
 そして、はっと振り返る。ウェンティさんたち、と微笑んだ。
「お迎えですね」
「語り部さんっ!」
 ウェンティが語り部に抱きつく。そして、ぎゅうっと抱きしめた。語り部はそんなウェンティをぽんぽんと撫でている。
 その隙にディルックと今剣がアビス教団の一味を退場させていた。なお、今剣は何やら訳あり顔で一部のアビス教団を見ていた。
 そんなことよりと、ウェンティは語り部から少しだけ離れる。
「怪我はない?」
「はい。ありません」
「本当に? 無理はしてない?」
「してません。ウェンティさんは意外と心配性ですね」
 語り部はくすくすと笑って、ウェンティをきゅっと抱きしめる。心臓の音を聞かせるように、胸に抱いた。
「ほら、一つも狂いがありません」
「……うん」
 すり、とウェンティは語り部に擦り寄った。こつんとウェンティの頭を叩くのは今剣である。
「あんまりやると、せくはらですよ」
「ちぇー」
「ウェンティさんはそんな事しないよ?」
「あるじさまは、そのてのききかんをもってください」
「僕からも同じことを伝えておこう」
「ええ、ディルックさんまで……」
 旅人はついでにと周囲に落ちていたアイテムを拾って、モンド城に帰ろうかと笑った。

 モンド城ではリサが語り部に駆け寄って、抱きしめた。
「良かった……」
「リサさん、どうかしましたか?」
「貴女が無事か、気になっていたのよ。平気そうで良かったわ」
「はい」
「主」
「ああ、一期。今晩は会議をするからね」
「やあ」
「福島光忠だね。何だかんだで初めて再会になるね。ジンさんのところに居るんだって?」
「一期から聞いたんだね。俺はジンさんと一緒にいるよ」
「了解。ジンさん、福さんをよろしくお願いします」
「あ、ああ。その、体は平気なのか?」
「五体満足です」
「それならいいんだが」
 ウェンティがそっと語り部とリサを引き剥がして、きゅっと手を握る。語り部は甘えたがりですかと不思議そうである。今剣がジト目で見ていた。
「ええと、お騒がせしました。これから語り部として広場をお借りできたらと」
「今日は帰ったほうがいいよ」
「でも、」
「働き詰めなの! 少し休んでいいんだよ」
 ウェンティの言葉に、語り部は控えめに頷いたのだった。


・・・


 夜。本丸屋敷の夕飯の席で会議である。
「アビス教団に薬研以外の二振り目たちがいたよ。あの様子だと、獅子王と加州と毛利くんしか顔を合わせてないみたいだけど……恐らく、敵側に二振り目の子達が吸い寄せられてる。例外が公子タルタリヤ。彼の元には初期刀の加州と初鍛刀の秋田がいる。物語上、タルタリヤはまあアレだからね」
「で、主としては敵側の刀たちとどうやって連絡を取るつもりなんだ?」
「そこなんだよね。今回の三振りは怪我をしたら本丸に来るように伝えておいたから。その他にも二振り目はいる。そもそも、二振り目だけが敵側にいると決まったわけではない。たったの二例だよ。症例として少な過ぎる」
「俺としては、」
 獅子王は夕飯を食べる手を止めて言う。
「未だに三日月宗近と会えていないのが怪しい、と思うぜ」
「それは、」
 私は息を詰める。皆が疑問に思っているらしい。まあ、私としてもそうだ。三日月宗近は、私の、初太刀である。プレイ初日にやって来た最高レアリティにして、現実にも若干の影響があったやつである。本物に会う機会があったが、わざと避けたぐらいである。ちょっとこわい。
「主と本当に会いたいと思うのは、三日月だろうな」
「それは、そうだろうね」
「あとは主の本当の刀」
「そっちはまだ未鑑定だから、ただの刀だよ。私が継ぐべき刀というだけ」
「三日月は嫉妬してそうだよな」
「バチバチに仲悪そうだね……まあ、会えてから考えよう」
「問題の先延ばしは良いことないぜ。今は議論のしようもないけどな」
「そういう事。兎にも角にも、敵側の刀たちも、私しか手入れできない。もしくは加州と秋田くんみたいに神の心のようなものを受け取ってもらうしか、この元素の満ちる世界で、審神者なくしてまともに生活できない」
「元素が無くても審神者無しでは生きていけないぞ!!」
「大包平のそれはド正論だね。そもそも、私が励起させなかった子たちはどうやって励起したんだろう」
 誰にしても、人間が関わっているのか。アビス教団は、旅人の妹さんとして。人間というか、広義でのヒトだろう。
「ああ、そうか」
 神にだけは、絶対に現れないのかもしれない。
 原神における、神とヒトの区別。それが、適応されているのかもしれない。何せ、仙も鬼も獣人も区別なんて殆どなく、居る、のだから。
 差別はある。でも、大きな差は神の区別だ。
「主」
「うん。獅子王、ここは原神の世界だよ」
 刀剣乱舞でも、日本でも、無いんだ。
「桜の小鳩を飛ばそうか」
 運命論者になってみせようか!


・・・


 アンバーが走る。飛んで、跳ねて、弓矢を番える。時間がない。腕を振り上げる。
「っ!!」
 攻撃を避けきれない。額を切られた。血が流れる。アンバーは目を封じられた。
 血で見えない視界を、何かが通った。
 目が使えない分、他の感覚が鋭くなった。はがねのおとがする。てつのにおいがする。つめたい、はだ。
「目が見えないのなら都合がいい」
 立て、とその人は言った。敵がいない。目の前にいるらしいその人が切り伏せたのだ。
「俺は山姥切。誰が何と言おうと、俺は山姥切だ」
 混ざってる。アンバーの感覚が叫ぶ。目の前の人は何かが混ざっている。
「名乗れ」
「あ、えっと、」
 そっと、言った。
「アンバーだよ、山姥切さん!」
「ああ、それでいい。俺は山姥切。逸話が何だろうと、傑作だ」
 何故だろう。言葉が、とても、熱い太陽のような、熱を帯びている気がした。


・・・


 足をやられた。コレイはその場から動けない。パトロールの範囲内だ。叫べば、すぐに他のレンジャーや師匠が助けてくれる。それでも、叫べない。だって、目の前のこれは何だ。異形、が、いた。巨体で、大きな刀を持っていて、おどろおどろしい闇を纏う。
 誰にも見せてはいけない心の闇、そんな馬鹿な考えが浮かぶ。闇の具現化なんて、あり得ないのに。
「闇なんてどこにでもあるさ」
「っあ、」
 ひとが、現れる。桜を舞わせて、立っていた。
「心は必ず歪を帯びる。歪は闇と謂れ易い。だとして、愛おしむのだって、わるかないだろう」
 うはは。そのひとは一太刀で、闇を切り伏せた。
「さて、お嬢さん、僕を呼んだな」
「う、え、」
「僕のことは、そうだな、じじいと呼べばいい」
「じ、じじい?!」
「祖父がご存命なら御前でもいいぞ」
「ご、ごぜん、って」
「うはは、まあいいさ。怪我をしているな。僕が運ぼう。案内を頼めるか?」
「う、うん。えっと、御前さん」
「それでいいぞ」
 うはは。御前さんはそうやって楽しそうに笑って、コレイをひょいと姫抱きにしたのだった。

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