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テイワットにトリップしたら審神者スキル持ちでした!5


夢主
特に何の特徴もないと自称する女性。ゲーマー。日本人。そこそこゴリラ審神者。呪われし相模国サーバー民。推しは主に獅子王、愛染国俊、大包平。初期刀は加州。初鍛刀は秋田。
この度、テイワットにトリップしたら審神者として刀剣男士を召喚できるようになっていた。何故??

獅子王:近侍。鵺は四次元ポケット。
愛染国俊:懐刀。賑やかなのが好き。
大包平:器用個体。料理できる。
髭切:兄者。警戒心強め。獅子王兄さん呼び。
一期一振:兄としての側面が強い。愛染に懐いた。

カーヴェ
???

タルタリヤ
秋田?
加州?

胡桃
鶴丸?

ディルック
薬研:二振り目。エース。
厚:頼れる男前。
後藤:背が伸びてほしい。
信濃:懐!!秘蔵っ子。

すべての神々→審神者
その"核心"に触れる存在。
審神者は刀剣の魂を励起させられる。
励起とは、元のエネルギーが、より高エネルギーに移行する状態である。


・・・


 ゆめは覚めない。ゆめ、ゆめ、ここはゆめのなか。
 いつか、お姫様が云いました。

──三本の矢の話

 いや、あれはお姫様ではなく。そう、これは、あのかたのおはなし。
 僕の、もりのはなし。


・・・


 目が覚める。私はくいと伸びをして、水を飲む。もう体は平気そうだ。あれからしばらく、私はこの屋敷に置かせてもらった。体調は順調に回復した。今日の様子次第ではモンド城に帰れそうだ。
 ノック音。メイドのアデリンさんがやって来た。そして、顔色が良いですねと言ってくれた。

 刀剣男士の皆は洋服を支給してもらって、せっせと働いたらしい。
 私は来た当初の、袴のようなズボンやシャツに袖を通し、桜色のループタイを身につけた。
「食後に皆を集めたいのですが」
「分かりました」
 アデリンさんは微笑んでくれた。

 朝食後、私の居させてもらっている部屋に刀たちが揃う。私は言った。
「そろそろ出ることになります。ついてくるのなら、仕事を片付けてください。私は、皆の意思を無為にしたくない」
 頭が、下げられる。

 その後に、ディルックさんも来た。彼には言っておきたいことがある。
「ディルックさん、ありがとうございました」
「部屋を貸しただけだ」
「そして、厚かましいお願いなのですが、うちの子達のうち、数振りがこの屋敷に留まることを選ぶでしょう」
「そう」
「どうか受け入れてほしいのです」
「構わない。彼らは優秀だからね」
「良かった」
 安心した。私は息を吐く。そして、続ける。
「また、新たな秘境は確認されてますか」
「特に聞かないな。でも、おそらくはあるだろう」
「ですよね」
「語り部としては次はどんな秘境に挑むことになると思うんだい」
 予感はする。
 夢を見た。
「三本の矢のゆめを、」
「は?」
「もりのゆめです。そこは、きっと、森の中」
 あの子はそこで眠っている。

 病み上がりだからと、今日も休むように言われながら、私はアデリンさんに図書室を見せてもらった。大きなそこに、ふむと頷く。
「良い場所ですね」
「本への造詣が深いのですか」
「深いというほどではありませんよ」
 ただの古書コレクターである。洋書もいいよね。

 しかしアカツキワイナリーとなると、義兄弟の複雑な関係がある。私は妹たちがいるので、家族の話に弱い。なんでそうなったかなと思ってしまう。
「ここに粟田口短刀、しかも大将組がいたわけか……」
 粟田口という、一期一振を兄とする集団(一部例外あり)。そして、その弟達の中でも、年長になる大将組である。
「うーん、SAN値チェックになってないといいんだけど」
 はあと息を吐くと、ようと声がした。図書室。はっと振り返る。ガイアさんがいた。
「っあ?!」
「はは、驚きすぎだろう」
「え、はい? なんで、ここに?」
「細かいことはいい。迎えに来たんだが」
「モンド城で何かありましたか? それとも、新たな秘境が?」
「おお、話が早いな。新たな秘境を旅人が見つけた」
「どんな秘境ですか」
「さあ……森の中とは言っていたが」
 どくんと、心臓が鳴る。やはり、夢で見たあれだ。
 助けに行きたい。きっとあの子は、待っている。
「明日、発ちます」
「そうか。なら明日また来よう」
「お願いします。あと、ガイアさん」
「ん、なんだ?」
 私は問いかける。
「刀を持つなら、どのような子がよいのですか?」
 私の質問に、ガイアさんは首を傾げた。
「使い易いならそれでいいんじゃないか?」
「そうですか」
 満点である。

 翌日。ガイアの案内で、私たちはアカツキワイナリーを発った。ワイナリーには大将組の四振りが残ったのだった。


・・・


 大包平は走る。魔物の討伐だった。刀を振る。軽やかに、大きく。大包平はその見た目のわりにとても軽い。
「大包平さん! 矢(スキル)、行きます!」
 アンバーの言葉に、大包平は飛び跳ねて下がる。元素スキルにより、矢が雨のように降った。
 討伐が終わると、アンバーはこれで大丈夫だねと笑う。獅子王と髭切が挟み撃ちに討伐していたので、合流した。その後ろには審神者もいる。
「怪我が無いようで何よりです。アンバーちゃんありがとう」
「どういたしまして! 元素が使えないと少し困るね」
「魔物への決定打になるからね」
 むむと審神者は唸る。大包平としては元素が使えようと使えなかろうと問題なかった。
「ただ、敵を斬るまでだろう」
「そうだよねえひらくん」
「俺は大包平だ!」
「怖いなあ、獅子王兄さん助けてー」
「俺は兄じゃない」
「髭切さん楽しそうだね?」
「そうだね。髭切なりに人型を楽しんでるんだよ」
 さて、秘境はもう直ぐだ。大包平は気を引き締めた。

 旅人がくるりと振り返る。語り部さんと、審神者を呼ぶ。審神者は心得たと、扉に手を伸ばした。そこには桜色の石がある。ぴっと血の匂い。ばきっと石が割れて、扉が開いた。
 審神者の手の怪我はすぐに塞がった。不可思議である。大包平としては、こうして秘境を開いていくことが正しいのか分からなかった。だって、こんな方法は、審神者を供物にしているようにしか見えないのだ。
「こっちからはミカとアンバー、そちらから二人出してもらえる?」
「じゃあ髭切と大包平で。お願いね、二振りとも」
「任せてよ」
「任せろ!」
 ミカが合流し、四人が秘境へと潜った。

 秘境の中で大包平は走る。矢が飛び交うので、それを薙ぎ払う。薙刀ではないんだがな。言えば、違いないねと髭切は笑った。
「獅子王兄さんが来なくて良かったよ。あの刀の主は弓の名手だったから」
「そうなの?」
 クロスボウで敵を倒し、ミカが問いかける。アンバーは敵兵討伐完了と言った。
「弓矢というのは、あの刀(ひと)にとって特別なんだよ」
「そうなんですか……?」
「あの刀にとって、弓矢こそが自身を導いたのだからね」
「ええっと?」
「髭切、そこまでにしておけ。絡繰があるぞ」
「ギミックだよ、大包平さんっ」
 アンバーがよっこらしょとパズルを解いた。がこん、の扉が現れる。大包平が開くと、中には短刀が一振り。そして、折れた矢が三本あった。
「……悪趣味だな」
 大包平の呟きに、アンバーがきょとんとする。髭切は、持ちなよと投げるように言って、それよりもミカが宝箱を開くのを興味深そうに見ていた。

 審神者の元に帰る。大包平はこいつがあったと言った。審神者は受け取る。そして、もりですか、と言った。
「もりだった」
 大包平の言葉に、審神者は言う。
「申す申す、御出でませ、毛利藤四郎!」
 ぶわり、花吹雪。大包平は動じない。ただ、その小さな体が励起するのを見ていた。
 若草色の髪、小さな背丈。何より鮮やかな目の色。彼は審神者を認めた。
「毛利藤四郎。ただいま、戻りました。主さま、そちらはどの様でしたか?」
「何事も、変わりなく。何てね。毛利も私のこと分かるんだね」
「はい。勿論です。そして、」
 毛利は振り返る。大包平はただ立っていた。
 彼は駆け寄った。大包平の手を取ると、その手に僅かにあった汚れすらも払う。そして、そっと見上げた。
「大包平さま、迎えに来てくださり、ありがとうございます」
「嗚呼、構わん」
「僕らの宝、貴方は一国にも変え難く、貴いのです」
「当然だ」
「どうか、この先はこの毛利に任せてください」
「頼りにしているぞ、極短刀」
「はいっ!」
 毛利は嬉しそうに笑った。大包平は仕方のない刀めと苦笑した。

「……ねえ、主。あれも個体差?」
「とりあえず大包平と毛利くんに会話は無いので」
「僕と同じかあ」
「あと一期とかかな」
「主は個人的な設定を想像しがちだね」
「まあ、仲が良いに越したことはないかなって」
「確かにね」
 全くもうと髭切は言う。アンバーとミカは報酬を旅人と分けてから、モンド城に戻るというので、三振りと審神者も同行した。


・・・


 審神者が語り部として物を語る。時にはウェンティの演奏で、歌を歌う。モンドの広場はすっかりステージだ。教会の人々も、審神者を追い出すことはしなかった。むしろ讃美歌の話をしては、何やら相談していた。審神者の雑学が回る。獅子王としては、あの審神者は元来学者気質なのだと思う。学者先生であり、刀を継ぐ姫君だ。気質はあまりに俗世に向かない。社畜をやっていたのも、働きすぎの気があるのも、身を粉にするのも、何もかもが生きるに向かない。人間らしくない。獅子王は思うのだ。
「獅子王さん?」
「あ、毛利。どうした?」
「今日は厨の手伝いをしていたんです! でも聞いてくださいよ、大包平さまったら僕に包丁を握らせてくれないんです!」
「そりゃあのキッチンなら無理だろ。身長的に」
「獅子王さんにだけは言われたくないですね!」
「俺はそこまで小さくない! 俺は持ち主への思いやりなんだからな!」
「はいはい。大包平さまのご飯美味しいので構わないんですけどお」
「そうだな」
 獅子王はテキパキと掃除しながら言う。今は物置の掃除と整理だ。ゴミは捨ててくださいとノエルから言われている。これは流石にゴミだろうと言う物はさっさとゴミ袋に入れた。
「獅子王さんは大包平さまと僕のことを聞かないんですか」
「誰かに聞かれたのか?」
「ガイアさんに言われたんです。変だ、と」
 おかしいですよね。毛利は笑う。
「大包平さまが人と触れ合うことが異常だというのに」
「……毛利、分かってるとは思うけど」
「知ってます。僕らは刀剣男士です。戦うために励起しました。戦うためには生活が必要です。大包平さまはそれを大事にしてくださっているだけ。でも、僕は、」
 大包平さまには、ただ、城の中に居て欲しいと思ってしまうのです、と。
 これは重症である。獅子王はああもうと米神を押さえた。
「そんなことを考えてるなんて、大包平にはバレんなよ」
「勿論です。大包平さまは正しく健やかに刀剣男士であるだけですので」
「そうだ。だから、毛利は持ち場に戻れ」
「はい」
 ではまたと毛利はキッチンに戻った。

 残った獅子王は、息を吐く。
「で、何してんだ。ガイアさん?」
「ああ、バレたか」
「いいんだよ別に。聞かれて困る話じゃない。いや、大包平の耳に入るとやっかいだけど」
「お前たちは本当に互いを思い合っているんだな」
「審神者も、刀同士も、よく考えているつもりだぜ。思考の停止は何より怖い。停滞は、澱みを生む。清流こそが、清浄の原点だからな」
 獅子王はそう言って、暇なら掃除を手伝ってくれよなんて笑った。ガイアは仕事はあるさとくつくつ笑っていた。


・・・


 一期はジンの手伝いをしている。ただ、側に控えて、簡単な事務作業の手伝いをするだけだ。
「すまない、助かる」
「いえ、構いません。住処を借りているのですから、当然です」
「そう言ってもらえると幾らか心が軽くなる。君たちが行ってくれていることは、明らかに対価として見合わないが……」
「そうなのですか?」
「君たちに褒美をと思っても、語り部以外からの褒賞は響かないらしいからな」
「おや、誰かに言われたので?」
「髭切だ」
「なるほど。そうなるでしょうな」
「君たちの主従関係はあまりに強固だ」
「主従、と見ると異常かもしれませんね」
 一期は言う。
「私たちは物です。持ち主に使ってもらえることが、何よりの幸福なのです」
「なかなか難しいな」
「そうかもしれません」
 時期にわかります。一期はそう言って、次の書類へと手を伸ばした。


・・・


 伸びやかに歌う。蒲公英が綿毛になる季節。私は歌う。春から夏にかけての穏やかな歌を。ヨーロッパに寄るのは、仕方ない。このモンドの地なら当然だろう。モチーフの地方って面白い。
 ありふれた歌を、人々は聴いてくれる。モラもくれる。私はウェンティさんと長いこと歌った。
「けほっ」
「あ、歌いすぎたかい?」
「はい、そうみたいです」
「じゃあここまでにしよう。撤収かな」
「はい」
「ボクも手伝うよ。手を貸して」
「はい?」
 手を伸ばすと、ウェンティさんは手を重ねて、そのまま引っ張る。そして、首に口付けた。
 まだ残っていた聴衆が、わっと声を上げた。
「う、ウェンティさん?!」
「喉、良くなったでしょ」
「あ、本当だ……いや、荒治療では?!」
「ははっ! いいのさ。さて、騎士団まで送ろう」
「ええ? まあ、分かりましたけど……」
 私は喉をさすってから、モラの入った袋や荷物を持って、立ち上がった。

 ウェンティさんが私を導く。何となく続いて、周囲をきょろりと見回した。何だか、景色が違って見える。
「ウェンティさん。なんか、変です」
「ん? そうかい?」
 何だか、まるで知らないモンドを歩いているような。

 暗転。

 見られている。

「語り部さん?」
「っあ、」
 げほっと咳き込む。ごほごほと吐血した。ぼたぼたと手の隙間から、血が流れる。ウェンティさんは静かに私の背を撫でてくれた。
「……落ち着いたかい?」
「っは、あ、はい。どうも、おかしいみたいで」
 私の胸で、桜色の石が強く輝いている。どくん。石がまた、鼓動した。

「誰かに見られている感覚、ね」
 ウェンティさんは道中のベンチに座って、私を落ち着かせてくれた。血の処理もしてくれて、頭が上がらない。
「それはよくあるの?」
「いえ、初めてでした」
「モンドに何かがいるのかな」
「いえ、モンドというより」
 私は上を指差した。
「天から、何かが見ているんです」
 ウェンティはきゅっと口を引き結んだ。


・・・


 タルタリヤはてってこと璃月を歩く。加州と秋田も一緒だった。
「賑やかだね」
「沢山の人がいます!」
「そうだね。二人とも離れないでよ」
「はあい」
「はいっ!」
 タルタリヤは仕事の合間に璃月に来ていた。探し人がいるのだ。
「で。そのサニワってのはどんな人なの?」
「女性で、優しい人だよ」
「すぐに泣いてしまうぐらいに繊細な方です!」
「うーん、外見的特徴が知りたいんだけど?」
 まあいいや。タルタリヤは一先ず一狩り行くよと璃月の地を走り始めた。


・・・


 砂漠の中。オアシスに囲まれたそこに、それはあった。
「秘境だよ」
「秘境か。どうすつもりだ。まさか二人で入ると?」
「君と僕なら平気だろうに。さて、行こうか」
「待て、いくら何でも無計画すぎる」
「でも、声が聞こえるんだ」
「鶴の、か」
「呼んでるんだよ。鶴は、選択すべきなんだ」
「選択か。自由か、幽閉か、と? 良い趣味とは思えんな」
「いや違う。鶴が選択すべきなのは、自由じゃない」
 覚悟だよ。カーヴェはアルハイゼンに言い放った。


・・・


 夢枕に立つ。

──ねえ、たすけてよ。おれは、ここではいきができない。


・・・

- ナノ -