きみへの理解のその先へ『何も知らない僕たちの日常』/カーヴェ受け/性別は男性で、性自認が女性で、性的趣向が男性のカーヴェくん。だったのが、肉体が女性になった為性別一致しました/能力はサポート特化と捏造しました。武器すら持ってないよ。持てないよ。自己犠牲型博愛要素含みます/ガイア、アルハイゼン
ルームメイト組が仲良しです(notCP)
誰落ちだ……?
※カーヴェはわりとマジで何も知らない。
※アルハイゼンが恋愛感情ではなくカーヴェの後方父親面してます。
※女性陣からは総愛され(友情)です。初期値からカンストしてる。

※カーヴェ(人間性の欠如)から愛されるガイアくん。
※アルハイゼン(人間性の欠如)から家族認定されてるガイアくん。
※ガイアくんつよくいきてくれ。やべー二人に好かれたぞ。

※わりと宇宙猫になってるガイアくんがいます。


[newpage]


 カーヴェがキッチンに立っていると、呼び鈴が鳴った。誰かなとごく普通に扉を開く。なお、家をバレたく無いことに変わりはないが、正直、スメールシティの皆さんとセノとティナリとアルハイゼンが体に慣れるまで気にするなと口々に言ったことと、あと何故かナヒーダが気に病まないでとふわふわ笑っていたので、カーヴェはしばらくの間、考えるのをやめることにした。どうせ考えたところで悪い方向に流れていくのがカーヴェである。

 ということで、玄関先にはガイアがいた。
「あ、ガイア君! 久しぶりだね」
「ああ。おかあさん、久しぶりだな。おじいちゃんは?」
「アルハイゼンは仕事だぞ。いつも通りなら定時だけど、最近忙しいらしくて機嫌悪いからなあ。今日こそ誰かに捕まってるかもしれない」
「恐ろしいな」
「とりあえず入って。お茶出すよ」
 カーヴェは笑顔でガイアを家に入れて、ふわふわと歩く。ソファに座っててとガイアに伝えると、チャイを淹れた。
「あ、ガイア君は甘い物平気かい?」
「普通だと思うが」
「じゃあチャイに砂糖は入れないでおこうか。バクラヴァがあるから一緒に食べよう」
「バクラヴァ?」
 せっせとお茶の用意をして、カーヴェは机に並べた。
「スメールシティでよく食べられてるお菓子だと思う。久しぶりに食べたくて作ったんだ」
「作ったのか? これを?」
「うん。そんなに難しくはないよ。食べ慣れて無いなら、少しだけ食べてみるといいかも。他の国にあるお菓子と比べてナッツが強いから」
 カーヴェは肉体が女性となってから、お菓子作りの趣味を隠さなくなった。アルハイゼンは普通に食べている。まあ、今でも、必要にならなければ特に誰にいうこともないものではある。何せ、別にプロではない。趣味の範囲なのである。凝り性なのは気にしないでほしい。
 ガイアはぱちぱちと皿の上のバクラヴァを眺めていた。
「食べないのかい?」
「いや、食べるがな……」
「うん?」
「昔から作ってたのか?」
「趣味の範囲だよ。作り過ぎたら、近所の子どもたちや女性たちに配ってたんだ」
「男には?」
「必要にならない限りは渡してないなあ。アルハイゼンとか、絶対に嫌味言うだろうから、隠してた。今も特にアルハイゼン以外の男性は食べてないと思う。事故が起きない限り」
「そうか……」
「ガイア君? 何だか複雑そうだね?」
 カーヴェはチャイを飲む。ガイアは色々な感情の乗った目をしている。正直、多過ぎてカーヴェには読み取れなかった。何か問題があっただろうか。

 確かに趣味の範囲なので、カーヴェの求める完璧な状態のバクラヴァではない。そもそもカーヴェに菓子作りが似合わないと言われたら、それはそれでまたひた隠しにするしかない。そもそも、男性にこれと言って食べてもらうのはアルハイゼンぐらいである。稲妻のアレは事故である。怖いね。なお、何故積極的に食べさせるのがアルハイゼンぐらいなのか、については、改善点を淡々と伝えてくるので助かるというだけである。

 ぐるぐると考えていると、ガイアがバクラヴァを手にして、ひとくち、食べた。恐る恐る見る。ふむ、と頷いていた。
「本当に甘いな」
「そう言ったじゃないか。口に合わないなら無理しなくていいからな。チャイは多分大丈夫だから」
「無理はしないぞ」
「それなら良いけど……」
「おかあさんは食べないのか?」
「あ、食べるよ」
 ティーカップを置いてバクラヴァを手にする。見慣れてきたものの、自分の手の細さに少しびっくりする。とにかく作ったバクラヴァを口に運んだ。サクサクとした生地とナッツ類の豊かな香りが、馴染みの味である。味は悪くないなと分析した。
 できればもう少し生地の食感を良くしたいので、層を作る際にもっと手を冷やしておいた方がいいだろうか。ナッツ類の処理も別の方法を試す価値はある。食べながら考えていると、すい、とガイアの指が口元を撫でた。ぴくっと肌が震える。
 何かと思うと、ぱくりと指を舐めている。うん?
「カケラが付いてたぞ?」
「あ、ごめん。気がつかなかったや」
「はは、おかあさんが何かを食べているところは、初めて見たな」
「そりゃあ、夢の中では何かを食べる気にならなかったからね。僕も人間だから現実では普通に食べるよ」
「そうか」
 笑顔のガイアに、機嫌がころころ変わるところがアルハイゼンと似てるなとカーヴェは思った。なお、アルハイゼンもまた同じことをカーヴェとガイアを見て思っているが、言ってはいないので、二人は結局何一つその点に関して討論に至っていない。

 閑話休題。

 カーヴェはお茶が終わると、片付けをする。ガイアはカーヴェの後ろをてこてことついて回り、手元を見ている。スメールのキッチンが不思議なのだろう。
「僕はこれから仕事だけど、ガイア君は本でも読んでる?」
「仕事? 出掛けるのか?」
「いや、家の中。仕事部屋に行くけど、暇だろうし。本なら各国言語揃ってるから、読めるやつがあるんじゃないかな」
「見学がしたいんだが」
「構わないよ。特に見られて困る内容じゃないし」
 カーヴェはエプロンを取って、薄手の上着を着る。トップスに関しては襟ぐりの広いものは全て処分された。それでもあまり首元がきついものは苦手なので、旅人の判断で許可の降りたものだけ着ている。
 仕事部屋に入ると、模型や紙が転がっている。怪我しないようにねと声をかけて、カーヴェは机に向かった。
「後輩から図面の手直しの依頼を受けたんだよ」
「はあ。さっぱり分からん」
「そりゃそうだよ! 椅子なら空いてるのがそこにあるから座ってていいよ。ちょっと集中するから、必要な時は何度か声をかけておくれ」
 というわけで、カーヴェはインク瓶にペンを浸した。

 妙論派卒の後輩はよく描いた方である。ミスがあるのは仕方ない。カーヴェはカリカリと一つ一つの訂正と修正を重ねていく。指示が言葉足らずなのは何とかした方がいい。これは手紙もつけるべきだろう。あとは計算ミスは流石に無いが、測量が甘い予感がした。これも指摘しておくべきだ。

 カーヴェが過集中になりながら仕事をしていると、陽が傾いていた。
「おかあさん、おかあさん、大丈夫か?」
「わっ、ああ、もうこんな時間か。ガイア君、ずっと見てたのかい? 退屈だっただろうに」
「いや、初めて見ることばかりだから楽しかったさ」
「そうかい? 夕飯作るけど食べてく?」
「二人がいいなら」
「多分あいつ喜ぶぞ」
「そこまで好かれたか?」
「うん」
 そりゃもう、すごく。

 てきぱきと夕飯を作る。風呂の用意もしておいた。ガイアは邪魔にならないようにと言って、ソファに座っている。
 夕飯が出来上がる頃になると、玄関扉の音がした。
「おかえり、うわっ何があったんだ君」
「時間間際に提出しようとしてきた学生を追い払っただけだが」
「学生の方が可哀想だな……いや、諦めが悪かったと見えるけど。だが、君にそこまで強く出れる子は凄いな。名前は控えたか?」
「君が覚える必要はないし、俺も覚えていない。部下には控えさせた」
「顔は覚えたか。可哀想に」
「不備があることを指摘したら喚いていた。マハマトラを呼ぶことになった」
「いや凄い根性だな。見てみたい」
「止めろ。面倒事になる」
「決めつけるなよ!!」
「ただでさえ今の君は何があるか分からない。非常に面倒だ」
「不安定なのは認めるが、興味を持つぐらいいいだろう! 女の子か? 男の子か? 年頃はどの程度だ? 学派は?」
「止めろ鬱陶しい」
「あとガイア君が来てるぞ」
「分かっている。ゆっくりしていくといい。泊まるなら……片付けたか?」
「一応、部屋は用意してある」
「着替えは、あれがダメそうなら、俺の分を使った方がいい」
「まあ今の僕は小さいからな」
 ここまでをガイアはぽかんと見ていた。
「ええと、おかえりだな……?」
「暇だっただろう」
「いや、全くそういうことは無かったが……」
「ならいい。着替えてくる」
 アルハイゼンは自室へと向かった。カーヴェはくすくすと笑う。
「よほどガイア君を気に入ってるな」
「そうなのか……?」
「とりあえず夕飯にするよ。椅子は増やしておいたから」
「うん??」
 夕飯を食べて、各自が風呂に入る。ガイアは結局、用意しておいた寝間着を借りていた。カーヴェもアルハイゼンも、ガイアの部屋を用意していたぐらいには準備してあったので、特にサイズに問題はない。ガイアは、ただただ驚いていた。借りた猫の状態になっている、というより宇宙を背負った猫になっている。そんなガイアの髪をカーヴェが乾かし、就寝までの間は自由時間になる。
 アルハイゼンはソファで読書をしている。カーヴェは仕事の資料をまとめている。ガイアはそんな二人をそろそろと眺めていた。

 就寝時間ぐらいだろうか。カーヴェがおいでとガイアを案内した。
「泊まるならここだよ」
「すごいな」
「普通の部屋だけど? 家具はあまり入れてないし、本棚の本は僕とアルハイゼンの選んだものになってる。読める本が一冊ぐらいはあるさ。ベッドサイドのランプは元素式だから、コツが要るかも」
「俺が来ることは見越していたのか?」
「そうだよ。じゃなかったら僕らは何もしないからね。いつ来るかは分からなかったけど、来ることは確定してたから」
「おかあさんのことも、おじいちゃんのことも、色んな人から話を聞かされたんだが」
「ああ、協力したっていう、僕の友人たちかな? 散々に言ってただろう」
「まあ、そうなる」
「そういう僕とアルハイゼンに気に入られるとこうなるわけだよ」
「……恐ろしいな」
「怖いかい?」
「いや、怖くはないが」
「うん?」
「無自覚だなあとは思う」
「何が?」
 心底分からないカーヴェに、ガイアは遠い目をしていた。
 とりあえず部屋に入らないガイアの手を引いて、ベッドに座らせる。部屋の明かりはランプだけだ。寝る前なのでこの程度だろう。
「ここを触れば消えるからね」
「ああ」
「じゃあ、おやすみ。早く寝るんだよ」
「おやすみ、おかあさん」
 そうして、カーヴェは部屋を出た。

 リビングでは、アルハイゼンがソファで本を閉じたところだった。
「旅人が騒いでいた」
「何でまた」
「知らん。とりあえず、あの子がここに居ることは伏せた方がいいだろう」
「ふうん。まあいいや。シティの人たちは大丈夫だね?」
「君が一緒なら問題ない」
「よく分かったよ。じゃあ僕も寝るから」
「俺もそのうち寝る」
 かくして就寝であった。


[newpage]


 早朝。カーヴェはいつものように起きて、身なりを整えると、さっさと三人分の朝食を作る。先に起きてきたのはガイアだ。服はスメールのものである。そろそろと歩いてくる。
「おはようガイア君。服のサイズが合ってて良かったよ」
「俺はとても驚いたが」
「そうかい? まあ、いつもの服はこちらだと目立ちそうだからね」
「俺はおかあさんたちの間でどのぐらい滞在することになっているんだ?」
「いや、好きにしていいけど?」
「ああ……」
 遠い目をしているガイアのことは分からないが、とりあえずカーヴェは朝食を並べた。そこへアルハイゼンが起きてくる。
「おはよう」
「あ、おはよう。君、時間いいのか?」
「さして重要な会議はない」
「部下が可哀想だね」
「俺が知ったことではない。キミもおはよう」
「あ、おはよう??」

 朝食である。

「俺は普段通りだが、君はどうするんだ」
「予想しようか。今日の君はとびきり帰宅が遅くなる」
「忌々しい」
「僕は依頼人と会う約束はないよ。ガイア君と散歩がてら花屋には行きたいかな」
「俺かい?」
「うん。僕が一緒なら大丈夫だと思う」
「うん??」
「念のために言っておくが、酒場は行くな」
「まだ体が変わってから一口も飲んでない」
「身長が変わっている。アルコールの分解能力も以前と違うだろう」
「分かってる!」
「キミが飲みたいなら買えばいい。家で飲むならカーヴェが潰れてもベッドに投げ込むだけで済む」
「その判断が俺に任されるのか……?」
「ガイア君はお酒が好きかい?」
「酒は好きだが、おかあさんの体に無茶をさせるのは、どうかと思うぜ」
「正しいな」
「うぐぐ」
 そのあたりでアルハイゼンは出勤し、カーヴェは片付けを始め、その後ろをてこてことガイアはついて回った。

 カーヴェは身支度を整えると、ソファに座っているガイアに声をかける。カーヴェは普段の赤い服ではなく、淡い青のトップスとスカートだ。長い髪は編んで結って、腰ほどの長さにまで調節してある。ガイアはその姿をやや唖然と見ていた。
「ガイア君、行こうか」
「えっと、本当に、俺でいいのかい?」
「当然だろう?」
 戸惑うガイアを引っ張って、カーヴェは家を出た。ちゃんと鍵は持った。

 まずは花屋である。いつもカーヴェが手伝っている花屋の店主の老婆がニコニコと笑っていた。
「カーヴェさん早いねえ。しかし、美しさに磨きがかかっておいぼれは嬉しいよ」
「ありがとう。花があるって聞いたけど」
「ああそうだよ。近所の子どもたちがぜひってねえ。ほら、向こうの通りの」
「あの子達か。今度、お礼を言わないとな」
「いいんだよ。まずは体に慣れた方がいいんだから……そこのお兄さんは?」
「僕の息子」
「ええと、」
「例の子だね。素敵なお兄さんだねえ。シティでゆっくりするといいよ。おまけにリボンを増やしておこうかねえ」
「ありがとう。また手が必要な時は呼んでくれ!」
「いいんだよ。充分助かってるからね」
 かくしてカーヴェの手にチューリップのささやかな花束が渡された。包装紙は黄色で、リボンは青色だ。
 そこへ少年が飛び出してきた。
「カーヴェさん!!」
「あれ、どうしたんだい?」
「例の子たちがいる! 早めに店に向かった方がいい!」
「思ったより早いな。ガイア君、走るよ!」
「えっ」
 カーヴェは花束を片手に、ガイアの手をしっかりと握って走り出す。ガイアはそれについて走った。

 まるで街の中が迷路のようだ。老若男女、様々な人が声をかけてくる。障害物となる壁などは先に足場が作られていて、カーヴェとガイアがたったと乗り越えて走るのに問題はない。ガイアには終わりのない迷路を走り続けているように思えるだろうが、カーヴェの足に迷いはない。何せ、地図はしっかりと頭に入っている。

 道なのか、道じゃないのか。不思議な道をふわふわとカーヴェは走る。ガイアはちゃんとついてきていた。

 そして、立ち止まる。静かな、深い木の佇まいの店だ。静寂の後、鳥の声がする。
「ガイア君、落ち着いたかい?」
「あ、ああ、大丈夫だが、ここは?」
「入ろうか」
 カーヴェがガイアを連れて入店すると、薄暗い店内にぼわとガラスランプの灯りが灯る。奥から店主が出てきた。若い男性だ。
「カーヴェ! 来たか」
「やあ、久しぶり。こっちは僕の息子」
「ああ! 例の! おかあさんの子か!」
「うん? 俺は会ったことあったか?」
「いや、友人たち経由でね。私はカーヴェの同期さ。現在は教令院には身を置いてない。妙論派を卒業している。今は家具職人だ」
「先日も論文を発表していたくせに」
「ははは、学者根性はまだあるからな。花嫁作戦にも少しばかり参加していたんだ。で、君か、なるほど。背丈は分かった」
「うん?」
「某書記官からは金に糸目をつけるなと念押しされている。好きに言ってくれ。職人たちならすぐ招集できるからな!」
「あいつやっぱり浮かれてるな」
「孫バカだな! 私は部屋を見ていないが、カーヴェの見立てた家具なら間違いもない。だが、使う本人も言いたいことは言っておけよ。教令院の天才共は話を聞かないからな」
「……つまり、俺の使った、あの部屋に合う家具を用意するということか?」
「そうだよ?」
 カーヴェがきょとんと言えば、ガイアは宇宙を背負った猫になっていた。昨日も見たが、これは多分すぐには戻ってこない。カーヴェはサクサクと店主たる同期と共に家具を選び、注文を始めたのだった。

 家具はスメール学者作の謎容量の小箱に仕舞われ、夕方にでも家の前に運んで置く、とのことである。

 店を出ると、ガイアが息を吐いた。
「すごいな」
「うん?」
「おかあさんは愛されてるなと、思っただけだ」
「そうかい? ガイア君のことを皆が気に入ってたみたいだけど」
「俺は何もしていないんだが……」
「僕もできることしかしてないぞ?」
 今度はゆっくりと、カーヴェは歩く。あの古代語の歌を小さく歌いながら、真昼のシティを歩く。今度は焦ることはない。裏道である。ひとの気配はない。たまに小さな生き物が姿を見せるぐらいだ。
「おかあさん」
「ん、どうしたんだい?」
「どうしてそこまでしてくれるんだ?」
「そりゃあ、ガイア君だからな」
「ずっと、俺はわがままなのに」
「わがまま? そういうのは僕やアルハイゼンだろ。ガイア君はずっと素直さ」
「でも、結果的に怖い思いをさせたんだ」
「巡り巡ってのことだろうに」
「実際に、怖がらせた」
「いつの話だい?」
 ガイアは一度口を閉じた。光の中、路地の中。迷路の中のような、塀の中で。カーヴェはただ、ガイアを見上げる。ガイアの迷っている顔は、あの夢からずっと変わらない。
「……抱きしめた」
「いつ?」
「シーツ、の時だ」
「ああ、夜の。確かにあれは相当怖かったけれど」
「だから、もっと恨んでもいいんじゃないか?」
「いや、どうせ友人たちの作戦の一つだろ?」
「それは、そうだが」
「じゃあ何も問題ないな!」
 笑うカーヴェに、ガイアは口を閉じた。もう何も言えない、という顔だが、カーヴェには何の問題もない。過去は苦々しく、痛く、傷を伴う。だが、カーヴェは前に進む。それが良いことか悪いことかは知らない。ガイアがどういった事情があるのか、カーヴェは聞かないと約束した。そもそも興味もない。あの夢で過ごした日々だけが確かなのだから。
「帰ったら昼食にしようか。チューリップも飾らなきゃな」
 そうして、何も言えない子どもの手を取るのだ。
「夕方には家具が届くんだ。一緒に飾ろう」
 他人と自分は別存在である。だからこそ、交流をするのだ。


[newpage]


【おまけ】

カーヴェ
・人間性の欠如。ガイアの母親面している。とても楽しい。

アルハイゼン
・人間性の欠如。カーヴェの父親面とガイアの祖父面してる。とても楽しい。

ガイア
・この人たち本気で事情を何も知らない筈なのに全幅の信頼を置いてくる。わけがわからない(宇宙を背負う猫)
・カーヴェとアルハイゼンの会話が汲み取れなくてわからない。本当に分からない(宇宙を背負う猫)

シティの皆さん
・あのカーヴェとあのアルハイゼンがめちゃくちゃ楽しそうに準備していたのを知っているので何一つガイアに疑問を持っていない。

教令院の上層部
・何も知らない。

アルハイゼンの部下
・わあ、たのしそう(しろめ)

旅人
・ガイアがスメールシティに居るらしいと聞いたのに居ないのは何故??

- ナノ -