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 魔女裁判殺人事件・終
魔女裁判殺人事件・終


 かこん。鹿威しの音がする。夏の本丸、獅子王と鶴丸と大包平は愛染に会う。
「受注書渡せたってな! お疲れ様。大変だったって聞いたぜ」
「おう。なんか結局戦闘もあったし」
「ほんっとにおつかれさん! あ、とりあえずこれ。見てくれるか?」
 代表して獅子王が受け取った手紙を、鶴丸と大包平も覗き込む。主さんに届いたんだ。愛染が教えてくれた。


・・・


 コナンは気がついたら工藤邸にいた。蘭と灰原は。そう気がついて、慌てて工藤邸を飛び出す。探偵事務所に行くと蘭が灰原とチョコチップクッキーを食べていた。
「あら、江戸川君。おはよう」
「あ、コナン君。ジュースあるよ」
 今持ってくるね。蘭の言葉に、ねえとコナンは口にした。
「なんだか、化け物を見た気がするんだけど」
 二人は覚えてる?
 その問いかけに、灰原と蘭は首を傾げた。
「何の話よ」
「夢を見たの?」
 覚えていない二人に、コナンは夢だったのだろうかと目を伏せた。詳細は思い出せない。ただ、またとんでもないことに巻き込まれた気がした。


・・・


 則宗と清光に対峙するは雪だった。図書館本丸にて、雪は泉から此度の御礼の品を持ってきていた。
「No.3について教えてくれるかい」
 則宗がにっこりと笑う。雪は迷いがちに告げる。制約を破らぬように、彼女は告げる。
「……No.3は、存在が、証明よ。私も、詳しくは知らない。ただ、No.3はその存在さえあればいい」
「どういうことなの?」
「ただ、存在さえあれば……」
 それさえあれば、彼は役目を果たせるのだ、と。


・・・


『第三型特殊合成人間ブラックシリーズと関わりを持った貴方達に報せねばなりません』

『No.3が姿を現した』

『時間が無い』

『"あの人"は"ユキ"を顕現させようとしている』

「なんだ、これ」
 獅子王が手紙から困惑した顔を上げる。愛染は極めて難しい顔をしていた。
「相応のことが起きる。ってことだな。蜂須賀と協議を進めてる。今度、隊長会議を行うから、その時までに意見をまとめておいてほしいんだ」
「ユキは、雪ではないってことだよな? だって雪はもう居る。顕現させようとしている、なら、雪は何だって話になる」
「分からない。そもそも、顕現なんて、神仏ぐらいにしか使わないのに」
 愛染の言葉に、大包平と鶴丸が口を開く。
「各隊で協議をしておくぞ」
「俺も演練部隊で話し合っておこう」
 そんな二口に、獅子王も頷いた。
「……第一部隊も、考えておく」
「頼むぜ!」
 じゃあ、ゆっくり休んでおいてくれ。愛染はそう言って審神者の執務室へと向かったのだった。

 かこん、鹿威しの音。蝉の声。夕暮れは世界を真っ赤に染めている。
 ああ、夏だった。獅子王はそっと手紙を握りしめた。





魔女裁判殺人事件
おわり


・・・


おまけ


獅子王…刀剣男士、偽名「源獅子」大学生
鶴丸国永…刀剣男士、偽名「五条鶴」大学生
大包平…刀剣男士、偽名「池田包平」大学生
・いつものGM本丸。
・このあと吸血鬼について調べたりする。

江戸川コナン…小学生
毛利蘭…高校生
灰原哀…小学生
・私は新蘭に愛される哀ちゃんが好きです。
・コナン君に記憶改竄が効き難くなっている。

鬼頭泉…警備会社員の事務員/変異種
塩野雪…プログラマー/第三型特殊合成人間ブラックシリーズNo.2
ジェイド=アマリリス…英国商社勤め/純血種/僕
高川音糸…看護師/混血種/俺
・泉は変異種の吸血鬼です。弟のために悪魔と契約しました。なお、弟は泉が吸血鬼なことを知りません。
・雪は対歴史修正主義者の兵器。No.3とは面識がない。
・アマリリスはまだ生きてる。
・高川音糸は亡くなりました。
・吸血鬼は種間での嫌悪感情があまりに強い。

今剣極…刀剣男士、偽名「細雪」
・泉を素直に主と認めている。
・雪は友達感覚。

一文字則宗…刀剣男士、偽名「福岡則宗」図書館本丸
加州清光極…刀剣男士、偽名「加賀清光」図書館本丸
・いつぞやの鶯丸のいる図書館本丸の刀たち。
・雪を帰宅させたら普段通りにのんびりする。
・No.3のことは少し引っかかっている。

なぜこのタイトル?
・泉は魔女でもある。
・アマリリスは魔女ではない。



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