キバネズ/噛み癖/口調分かりません/一人称も危うい/習作です/捏造しかない/これは二次創作です


!たぶん剣盾のネタバレ含みます!
!どこからがネタバレかわからないですがこれはクリア後クリア後の人間が書いてます!


 飴玉を噛む。ガリガリという派手な音に、食べるの下手過ぎませんかと、ネズは呆れた。
「飴は舐めるものですよ」
「めんどくさい」
 がりがりと噛んでごくりと飲み込んで。ネズは哀れな飴玉を思った。自分はころころと飴玉を口の中で転がしながら味わう。飴玉を噛むのは、彼の噛みつきグセと何か関係があるのだろうか。甘えたな心情と、癖は関係ないのかもしれない。
「これ美味いな」
 今しがた噛み砕いた飴玉の包装紙をキバナがじろじろと見ている。そりゃそうでしょうねとネズは応えた。
「専門店で人気が高いものらしいですから」
「飴の専門店なんてあるのか!」
「そりゃありますよ」
 はあとキバナは感心している。ネズは口の中に広がるとろりとしたレモン味に、息を吐いた。甘ったるくない、後味が長引かない飴玉はとても食べやすかった。
「なーなー、ネズのそれは何味なんだ?」
「レモンですけど」
「オレさまオレンだったのに!?」
「はあ……レモンがいいならまだありますよ」
 がさごそと袋を開くと、キバナはもにょもにょとヌメラのような口をしていた。言いたいことは大体わかったので、ネズはレモン味の飴玉を取り出してじろりと見た。
「ほら、これですよ」
「……あのさあ」
「素直に受け取れですよ」
「だってネズが食べてるから美味しそうに思えるんだってーのに」
「だっても何もありません」
 でも、少しくらいはいいかもしれない。ネズは包装紙をぺりぺりと剥がして、飴玉を手にした。
「ほら、口を開けなさい」
「あ」
 ひょいと飴玉を投げ入れると、キバナはころりころりと不器用に飴玉を転がし始めた。何でも器用にこなす方であるこの男は、飴玉を転がすのにはなれていないらしい。ネズはそれが可笑しくてくつくつと笑った。キバナが何だよと拗ねるので、別に何でもありませんよとネズは答えた。
「オマエも案外不器用なんだと思っただけです」
「ひでーの」
「そうですか」
「なあ、噛んでもいいか?」
「駄目ですよ」
 一度くらいは噛むのを我慢なさい。つ、と指先がキバナの口元を撫でる。キバナにばくりと指を口に含まれそうになって、するりと逃げた。
「食べ終わったらキスしてもいいですよ」
「言ったな! 絶対だからな!」
「はいはい」
 余裕そうで腹が立つ。そんな言い分に、ネズはたまにはおれに余裕があってもいいでしょうととぼけたのだった。

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