キバネズ/竜のこころと悪魔のきまぐれ/口調分かりません/一人称も危うい/習作です/捏造しかない/これは二次創作です


!たぶん剣盾のネタバレ含みます!
!どこからがネタバレかわからないですがこれはクリア後クリア後の人間が書いてます!


 するりと撫でるように、手と手が当たった。あ、と声を漏らしたのはキバナだった。ネズはすぐに手を遠くにやって、首飾りをちりちりと触る。
 その姿に、どうしても手を繋ぎたいと願望が頭をもたげた。場所はバーの中。いくら隠れ家のような場所とはいえ、公の場である。じろりと睨まれる。少しは我慢を覚えなさいとでも言うようだった。
 だが、周りは誰もキバナとネズに注目していないし、酒だって運ばれてすぐだ。少しくらいはいいだろうに、キバナがじいとネズを覗き込むと、ふいと目を逸らされた。グラスを取ろうと首飾りから手が離れた一瞬、キバナは手を結んだ。
 緩く結んで、肌を撫でるように指を絡めて、きゅっと力を込めれば、ネズの口から微かな声が漏れていた。
「何しやがるんですか」
 離せと言われたのだろう。だが、生憎、キバナだってずるい大人なのである。
「手、温めてやるよ」
 緊張からか、冷たい手をにぎにぎと揉めば、呆れた顔が返ってきた。離す気が無いなら、静かにしているに限る。ネズは怒るよりもエネルギーの消費が少ない方を選んだ。ついでに言うなら、目立つことも避けたかった。

「ネズはさあ、」
 ぼやくと、何ですかと視線が返ってくる。それが互いに無関心だった昔とは全くの正反対で、出会ってからの日々を思い起こさせた。
「ずるいよな」
 ええ、とネズは声を漏らした。これは故意である。
「それをおまえが言うんですか」
 おれよりずっとずるくて強いキバナが。そう返されて、あのなあとキバナは息を吐いた。
「オレさま、ネズの前だとすっげー余裕ないだろ」
「どの口が言うんだか」
「それこそネズのことだろ」
「どこが……」
 呆れ顔のネズに、そういうところだとキバナは繰り返す。二人して決定的な言葉は言わずに、たまに会っては酒を交わして、言葉を交わすだけの関係に、世間は友情を語るのだろう。だが、キバナにしてみればその感情は友情には重すぎた。

 本当はネズの未来、すべての時間がほしいのだ。酒の回ってきた頭で考える。宝物の様に仕舞い込んでしまいたい。凶暴な欲はドラゴン使いだからなのだろうか。それは言いがかりだろうか。
「なあ、ネズ」
 オレさま達、どうしたらいいんだろうな。声は震えていた。
「知りませんよ」
 ネズは唯、淡々と事実を述べていた。

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