キバネズ/おみおくり/口調分かりません/一人称も危うい/習作です/捏造しかない/これは二次創作です


!たぶん剣盾のネタバレ含みます!
!どこからがネタバレかわからないですがこれはクリア後クリア後の人間が書いてます!


 アーマーガアに乗らずとも、スパイクタウンにはすぐ着く。タクシーに頼らなくていいのは便利だなとキバナは思っている。それがネズにとっても同じであることは、気が付かなかったけれど。

「ただの買い出しですよ」
 ステージにいないネズはなかなか彼と気が付かれないらしい。いいなとキバナは羨ましがった。キバナは大体どこに居てもファンに引っかかる。悪いことだとは思わないが、たまに息苦しくなるときもあるのだ。言わないけれど。
 でも、ネズは知ってるとでも言うようにキバナを追い越した。
「買い物、ついてくるんなら早くしろってんですよ」
「いいのか?」
「どうせ顔は見せようと思ってましたし、構わねーです」
「やった」
 じゃあ行こうぜ。ネズの隣に立つと、彼はやや俯きがちにメモを取り出した。そんな姿に、かつてはオフのネズは貴重だったなと思い出す。キバナはもうオフの日のネズに慣れている。オレもオンとオフがはっきりしてたらいいのか。少しモヤモヤとしていると、遠目な視線を感じた。どうやら注目を浴びてきたようだ。
 すると、タイミング良くネズが歩き始めた。
「荷物、手伝ってくださいよ」
「勿論!」
 さっさと買い出ししてマリィの元に帰りたいと、ネズはメモをポケットに仕舞った。

 買い出しを終えるとスパイクタウンに向かう。アーマーガアに荷物を頼んだので、二人は身軽なまま道路を歩いていた。
 時は夕暮れ、案外時間がかかったなとボヤけば、途中で帰っても良かったんですよと返された。
「というか一人で帰れます」
「オレさまが心配なんだって」
「マリィならともかく、おれですよ」
「カワイイ恋人を一人にするなんてできねえ」
「うわ……素面でそれ言うんですか……」
 ドン引きしているネズに、むすっとキバナが不機嫌顔になる。
「悪いかよ」
「悪くはないですが、引きはします」
「なんだよそれ」
「そういうのはかわいい人に言っておやりなさい。おれは男です」
「でもネズってめちゃくちゃ細いし」
「それ以上言うと今すぐアーマーガア呼びますけど」
「……じゃあ言わねえ」
「良い判断ですね」
 ふふんと上機嫌になったネズに、キバナは可愛いなあと思ったが口は閉じた。余計なことを言うと本当にタクシーを呼びそうだ。というかスパイクタウンにタクシー止まらないのにと言いかければ、特別便を使いますとケロリと言われた。シャッター前にでも止まるのだろうか。
「スパイクタウンに着いたらもう日は暮れるでしょうね」
「泊まらせてくれねーの?」
「マリィがいるのに許可を出すと思います?」
「本人に聞いてみようぜ」
「絶対にダメです」
 じろりと睨むネズに、ケチだなあとキバナは言う。なお、実際に、マリィに聞いたら許可は降りるだろうとキバナは確信している。あの妹は存外鋭いのだ。
「そろそろですね」
 シャッター前で、ネズはひらりと手を振った。
「帰り道は気をつけてくだせえ」
「おう」
 そうしてシャッターの向こうに消えるネズを見送ってから、さっさと帰るかとキバナは手持ち無沙汰に伸びをしたのだった。

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