キバネズ/サイレント5/アローラ旅です/もうちょっとつづきます


 ウラウラ島からの連絡船で、ポニ島に向かう。どうやら、ポニ島は自然が多く残っているらしく、人の住める場所といえば海の上らしい。海の民と呼ばれる人々が暮らしているはずだと、キバナはスマホロトムで情報を得て、ネズに話した。

 海の民の村は明るい日差しに満ちていた。船が泊まっており、宿屋やレストランもあるらしい。
 初めてポニ島に来たならナッシーアイランドに行くべきだ。そんな話を世話好きの船長から聞いて、時間もあることだからとキバナとネズはナッシーアイランドに向かった。

 ナッシーが保護されている地域とは聞いたていたが、ここまでとは。キバナとネズは背の高いナッシーにあんぐりと口を開いた。あまりに大きい。ドラゴンタイプでもあると聞くと、キバナは目を輝かせた。

 ナッシー達と触れ合いながら小さな島を歩き回る。小さなあなぐらや、小高い丘。何かが置かれていたらしき、小さな祭壇もあった。

 どこか力強い海風が吹いている。ナッシー達のおかげで強い日差しにも風にも滅入ることなく、ナッシーアイランドを歩き回った。
 島中を探検した後に、またいつか、そう声をかけながら海の民の村に戻った。その頃には、昼となっていた。

 軽い昼食にとマラサダを買い、食べながらポニの広野に向かう。自然ならワイルドエリアで慣れているが、見知らぬ土地なので慎重に進む他ない。

 周囲を警戒しつつも軽い雑談をしながら歩いていると、ふらふらと歩く少女が見えた。その手にはスケッチブックがあり、少女自身も絵の具にまみれていた。ポニの広野を歩くには不用心に見えるが、どこかバトル慣れしたオーラが漂っているようだった。
「ん? あろーら、アローラ! お客さんかな?」
「きみは?」
「マツリカだよ。お兄さんたち、バトルツリーに来たんでしょ? 案内しようか?」
「バトルツリー?」
「うん。まだあんまり有名じゃないけど……あれ、違った?」
 マツリカはことんと首を傾げた。
「バトルと名がつくからにはバトルができるんですか?」
「ウン。すっごく強いトレーナーがわんさかいるよ。その前に、バトルツリーにたどり着くのが、大変だけどね」
「どういうことだ?」
「道がないからみんな迷うの。お兄さん達はあんまり彷徨ってないね?」
「ガラルのワイルドエリアで慣れているので」
「ああ、なるほど。それはいいね。ガラルには絵を描きに行ったことがあるよ。あそこの自然もいいところだったね、じゃあバトルツリーまでの案内はいらないかな?」
「いや、頼むぜ。そうだろ、ネズ」
「ええ、実に興味深いので」
「ウン、任せて!」
 マツリカはそう言って、くるりと背を向けてふらふらと歩き出したのだった。


 マツリカに続いてバトルツリーに入る。マツリカは案内が終わったからと、二人のエントリーを見届けてからまたアローラと去って行った。


 バトルツリーのダブルバトルにキバナが、シングルバトルにネズが交代で挑戦した。手強いバトルに、アローラ全体でもっとこのバトルツリーのことを宣伝すべきだと思ったのだった。


・・・


 ポニの広野に戻り、ふらふらと歩く。すると、海岸に辿り着いた。眼前に広がる海原に、ネズはキルクスとは大違いだと何度も驚いていた。
「少し、パートナー達を休ませましょうか」
「じゃあキャンプするか」
「いいですね」
 キャンプの用意を整えて、まめカンを使ったまめカレーを作り、食べる。真っ青な海を見ながらのカレーはなかなかに美味しかった。


・・・


 海の民の村に戻り、レストランでロコモコを食べる。
 お腹いっぱいになったネズがうとうととしているので、予約していた宿屋にチェックインしに向かったのだった。

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