キバネズ/ふしぎのくに/口調分かりません/一人称も危うい/捏造しかない/これは二次創作です


!たぶん剣盾のネタバレ含みます!
!どこからがネタバレかわからないですがこれはクリア後クリア後の人間が書いてます!


 アラベスクタウン。ルミナスメイズ森を抜けた先にある、摩訶不思議の国。ネズはマリィからビートへの届け物を手に、すたすたと歩いていた。ジムリーダーとして手渡したい書類があるものの、ジムから離れられないし、連絡はつかない(そもそも連絡先を交換していない)ので、アニキお願いと頼まれれば構いませんよと受けるしかなかった。
 正直、あくタイプ使いとしてフェアリータイプは身構えるところである。嫌いでも苦手でもないが、ちょっと、身構える。先代ジムリーダーのポプラに至っては人間的に避けていた。いや、いい人ではある。ちょっと捻くれてて、やたらとこちらを気に入ってくれていた。その対象が現在はビートなのだろう。全くもってご苦労さまというところである。まあ、ただの捻くれ者同士ならばどうしようもないが、ポプラの人生経験の深さならば若いビートの捻くれなどどうとでもないだろう。

 さてはて、ジムには来たがビートには会えないらしかった。正確には、挑戦者が来ていて、対応中らしい。しばらくジムで待ちぼうけてもいいが、観光してもいいかもしれない。不思議な住民が多いことだし、ネズの創作欲を掻き立てる何かがあるかもしれない。

 ジムから出てきょろりと辺りを見回す。現在のネズは黒のタートルネックにベージュのコート。白黒のマフラー付きである。黒いスキニーのズボンが実はレディースものなのはマリィしか知らない。どうにも細いからである。深くは指摘しないでほしい。

 光るキノコにチラつくネマシュ。マーイーカがくるくると遊んでいて、進化が近いのが分かった。水の中に住むはずのチョンチーがふわふわと浮いていたのを見て、あれはフェアリー特有の不思議な力が関係しているのだろうかと頭を捻った。
「あれ、ネズじゃん!」
 ばたばたと騒がしい足音がして、立ち止まると、キバナが走り寄って来ていた。どうしてこんなところにいるんだよと、彼こそこの街に似つかわしくないのにそんなことを問われて、ネズは少し愉快だった。
「マリィにおつかいを頼まれましてね」
「あ、もしかして書類か? オレもさービートにサイン貰わなくちゃなんねーんだよ」
「おれは書類を届けるだけですね。ま、今は仕事中らしいですけど」
「まじか。ま、今日中に何とかなるよなあ。ってことはネズはいま暇?」
「暇ですね」
「じゃあ、バトルしようぜ!」
「却下ってんです。この街のバトルコートはジムにしかありません」
「ルミナスメイズの森とか……」
「あんな暗闇でおまえの雨やら砂嵐やらが起きたら周囲のポケモンが混乱するでしょうが」
「まー、そうだよなあ」
 それならとキバナはネズに手を差し伸べた。
「そんならデートでもしようぜ」
「……場の雰囲気だけなら百点ですねえ」
「オレさまの誘い文句は?」
「0点です」
「ひでえの!」
 じゃあまずは向こうの大きなキノコの上にいるチョンチーでも見に行こうぜ。キバナはそう言って、ネズと重なった手に力を込めて歩き出した。ネズはそれに逆らわずに、ビートに会える時間までですよと言ったのだった。

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