キバネズ/あなたとわたしの恋愛事情/口調分かりません/一人称も危うい/捏造しかない/これは二次創作です


!たぶん剣盾のネタバレ含みます!
!どこからがネタバレかわからないですがこれはクリア後クリア後の人間が書いてます!


 後悔しませんか。
 誰かに言われた。キバナは答えた。後悔する暇なんてない。キバナはそういう男なのだ。

 毎日が忙しなく過ぎていく。トレーニングと、SNSへの投稿と、そうして愛する人の元に行くことと。お互いのプライベートに干渉しすぎである自覚はあった。でも、ネズが許してくれる限り、キバナは彼と共に居たかった。

 後悔しませんか。いつだったか、誰かにそう言われたことを思い出す。後悔なんて、キバナは考えたこともなかった。だって、初めての恋愛だったのだ。ただの恋ではない。真心の愛に、キバナは混乱してばかりだった。朝起きて、ネズの一挙一動に心を動かされて、一喜一憂しては眠りにつく。月日は瞬く間に過ぎていくしか道は無く、キバナはネズとそんな恋愛をしている。

「依存です」
 きっぱりと言われて、キバナは黙った。お前がそれを言うのか。キバナは叫びたかった。叫べなかった。事実だからだ。
「依存の先には共倒れしかねーですよ」
 だから、とネズは手を持ち上げた。
「他の依存先を見つけるんです」
 人は依存無しには生きられない。ただ、依存先を増やして一箇所へ集中していた負荷を減らすのだ。
「ネズはそれでいいのかよ」
 声は震えていた。ネズは無骨な手をキバナの手と絡めた。
「当たり前ってんです。より長く共に居るためですからね」
 そういうところが、ずるいのだ。

 ネズとは一ヶ月に二回会うだけに留めて、メールは一日一回までとした。会えない時間に、しばらくのキバナはトレーニングとリーグに打ち込んだ。新チャンピオンにリーグを増やしてほしいと電話口に提言すれば、レベリングに付き合ってくださいとケロリとした声音が返ってきた。
 そうしてしばらくして、キバナはSNSを見直した。ネズのことは書いていない。なのに、ぽつぽつとキバナの心身を心配する反応が増えてきていた。生き急いで見えるのよ。ある日のリーグでルリナに言われた。ショックを受けるより、嗚呼と、納得してしまった。

『依存先は増えましたか』
 電話口に問われた。キバナはきっぱりと口にした。曖昧なことは言いたくなかった。
「やっぱ、オレさまにはネズが必要だ」
 ネズだってそうだろう。キバナはSNSで間接的にネズの不調を聞いていた。ファンが心配していたのだ。お互いに何の成果も得られない数カ月だった。キバナは繰り返す。
「今すぐ会いたいんだけど」
 しばらくの間。キバナは祈るように手を握りしめた。ネズの声がした。
『仕方ねーやつですね』
 スパイクタウンで待ってますよ。そうして通話が切れて、キバナは財布を握り、ロトムを連れて外に飛び出した。
 ナックルシティを走り抜ける。道行く人にカメラを向けられたが、気にならなかった。それよりも早くネズに会いたくて、立ち止まることが、振り返ることが惜しかった。

「ネズ!」
 スパイクタウンのシャッターの前。ひらりと手を振る泣きそうな顔の男に、キバナは駆け寄って、真っ先に抱きしめたのだった。

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