事件体質の兄とツッコミ体質の妹

タイトル:事件体質の兄とツッコミ体質の妹
要素:平凡、兄妹、ギャグ、コメディ、勘違い
版権:名探偵コナン

兄主→男主。どこからどう見てもラスボス系の線の細いしっとり和風美形男性。最近米花町に引っ越してきた。自覚なしのトラブルメーカー。自分にも他人にもわりと厳しい。天然。
妹主→女主。どこからどうみても平凡。うっかり米花町のとある中小企業に就職してしまった。真面目系不運。人間関係には恵まれている。


「米花町に引っ越すことになったんだが」
「何言ってるのお兄ちゃん」
 ご飯なら今食べてるでしょ。

 私には兄がいる。それはもう美形な兄は、私の外見上のコンプレックスなのだが、中身については他人にも自分にも厳しい人なのでわりと気に入っている。ただ、それ以上に私が兄に対して気にかけていることがある。
 兄はトラブルメーカー、台風の目なのだ。しかも、じっとしているかと思ったら、何かに巻き込まれていることに気が付いていないだけだったりする、天然でもある。犬も歩けば棒に当たるというが、兄は歩けば事件にぶち当たる。そういう人なのだ。
 そういう人が、米花町に引っ越すだって?

「兄さん、頼むから米花町周辺だけはやめてください。事件が毎日何件も起きている土地ですよ? 今度こそ死にますよ?」
「女主が住んでいる土地だろう? 平気だ」
「私を根拠にしないでもらえます?」
「米花町への赴任はもう決まってるんだが」
「ハァー? 何、どういうことですか?」
「帝丹高校の臨時国語教師だ」
「うそでしょ」
「辞令がここにある」
「ほんとじゃん……」
 何度見ても帝丹高校に行ってね☆みたいなことが書いてある。嘘でしょ教育関連の偉い人。人は選んで。
「何か問題なのか?」
「さっき言いましたよね? 事件が多いんです」
「そうなのか?」
「そうなんです! だから、この話はなんとか断ってください!」
「もう行くとの返事をしているんだが」
「アアア、先に相談してくださいよ!」
 何でこの人は自ら死地に向かうのだろう。語弊が大いにあるが、気持ちとしてはそんな感じなのである。
「もうこうなったら、何かあったらすぐに連絡してください。すぐ駆けつけますから」
「別に平気だろう」
「何かあったらすぐ犯人扱いされるくせに、どの口が言ってるんですかね??」
「人相が悪いつもりはないんだが」
「オーラがそれっぽすぎるんですよ」
「オーラ?」
 非科学的なと眉を寄せる兄は相変わらず着物が似合いそうな美形である。筋肉があったり入れ墨があったりしないのに、どうしてかな、一般人に見えない。
「そういえば事前に高校まで行ってみたんだが」
「はい?」
「休憩として喫茶店に入ったんだ。なんだったかな、ポアロとかいう……」
「毛利探偵事務所の真下~~!!」
「毛利探偵事務所? そういえば字があったな」
「米花町で有名な探偵ですよ。テレビで名前ぐらい見たことありますよね?」
「ああ、ヒゲの」
「多分それです」
「で、そこにいた小学生君が頭の良い子でな。友達になれそうだと思ったんだ」
「小学生? もしかして、青い目で眼鏡をかけた?」
「知っているのか?」
「キッドキラーとして有名な小学一年生くんですよ!」
「キッド……なんだったか、怪盗の?」
「それです」
「枕元に予告状が来てたな。この間、偶然人にもらった宝石があるんだが、それが欲しいらしい。そういえば小学生の子が見せてとせがんできたが、そうか、キッドキラーなのか。ライバルというやつか?」
「知りませんけど、何新しいトラブル源持ち込んでるんですか!!」
 もうやだこの人と頭を抱えると、兄はそうかとわずかに困った顔をした。

「いたずらかと思ったが、本当に来るなら茶でも出さないとな」
「そうじゃないです!!」

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