禁止ワードのあるはなし

禁止ワードのあるはなし
ラヴヘブン逆ハー狙い撃退短編夢
50000hitお礼リクエスト企画の作品になります。アンタレス様リクエストありがとうございました!


!アンチ逆ハー要素があります!
!男女コンビ主です!
!ギャグです!
!会話文中心です!
男主→男主/ツッコミ/女主は親友
女主→女主/キレやすい若者/男主は親友
同じ高校に通うクラスメイトだったが、ラヴヘブン世界にトリップしてしまった。現地で逞しく生きていたら主人公一行が保護してくれた。



 それは唐突に現れる。

「きゃー! まゆったら手が滑っちゃったあ」

 金髪赤目、いかにもお嬢様風の自称17歳。彼女は花の女子高生まゆさん、と自称している。そんなまゆさんはなんだかよく分からない世界で暴走中です。
 まゆさんが池に突き落とした相手は黒髪姫カット黒目の女の子、女主である。女主はぱちりと瞬きをしてから、顔を上げた。まゆさんは西洋風なイメージで、女主は日本風なイメージだろうか。対照的だな。
「殺すぞ小娘」
 本当に対照的なんだよなあ……。

「女主、落ち着いて、ステイ、ステイ」
「あの女、私を池に突き落としたんだぞ」
「沸点低すぎない??」
「おい男主、私の刀を取って来い。絶対殺す。その後油を掛けて燃やす。骨がカスッカスだろうなこの女」
「規制入りそうな発言やめよう。油もライターも絶対渡さないし、刀は織田さんに取り上げられてるでしょ」
「男主、信じてるぞ」
「何を??」
「ちょっと、男主くん!」
「え、何まゆさん、俺に用?」
「もー! 男主くんはやさしいんだからあ。一緒にあの女、の人を呼びに行きましょ! その人ずぶ濡れだから、風邪引いちゃう!」
「いや突き落としたのは貴様だ」
「落ち着いて女主。タオル持って来るから」
「男主くん!!」
 そのまま俺の腕にまとわりついてくるまゆさん。ちょっと胸押し付けないでもらえます? ふかふかですけど脳内にエイリアン飼ってるような人だと思うと、気持ち悪いです。
「やあ、男主くん。大変なことになっているね。お嬢さん、大丈夫かい?」
「あ、鴎外さん」
「あー! 鴎外先生っまゆのこと心配してくれたんですねっ」
「いや、女主さんの方だけど」
「そんなあ〜、なんでですかあ? あ、もしかして濡れているからですか? だったらあの女、の人のほうが同性同士だから都合が良いと思いますよ!」
「貴様本当に煩いな。カン高い声で喋るな耳も痛くなってくる」
「女主さん、やっぱり怪我したんだね」
「え、マジで?」
「庭の底が案外凸凹していたらしく、腕に少しな。だが平気だ」
「すぐに消毒するから向こうにいくよ。ほら、こっちに」
「え、鴎外さんまさかの姫抱きですか」
「死ぬ」
「女主の、普段高嶺の花すぎて男性耐性がゼロになった過去が今響いてる」
「男主、煩い」
 顔が赤いのだったら可愛らしいのに、真っ青だから本気で気分が悪いんだろうなと思いながら、そういえばまゆさんどうしたんだろうと思うと目に涙をいっぱい浮かべて顔を真っ赤にしていた。
「なんで! なんでなんでまゆのこと無視するのよ!」
「いや、無視はしてない」
「こんなのいじめよ! 嫌われからの逆ハー展開なの?! そんなメンドクサイ段階なんていらない! ねえ、まゆを愛しなさいよ鴎外先生! まゆを愛して、愛して、愛して!!」
「そう言われても、他人に愛を強制するなんてどうかしてるよ」
「鴎外さん……」
「死ぬ」
「鴎外さんそろそろ女主が耐えられないみたいです」
「しかし濡れたまま屋敷内を歩いてもらっても困るからね」
「アー、がんば」
「男主の今晩の唐揚げを奪ってやる」
「俺の好物!」
「なんっで聞かないのよ!!まゆの言葉でしょ!美少女の言葉なんだから聞くのが普通でしょ!!まゆはこの世界の、」
「あ」

「ヒロインなんだから!!」

 そう言った瞬間、まゆさんは消えた。きっとこの世界から出て行って、成仏したのか輪廻に基づき、転生したのかはわからないけど、もうこのよく分からない世界にはいないはずだ。
「自滅したね」
「禁止ワードだからなあ」
 この世界のヒロインはとある女の人で、その人ではなく自分こそがヒロインだと名乗ると強制的に排除されるらしい。というのは噂で、そうでもないような事もある。だが、迷惑な方々は大抵ヒロインだと言った瞬間に消えている。不思議な世界に相応しい不思議だと思う。
「吐きそう……」
「鴎外さん早急に降ろしてあげてください」
「全く、分かったよ。傷口を洗って入浴して体を温めて医務室に来なさい」
「……」
「もう話すのも限界らしいです」
「はいはい」

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