写真家

写真家/バシャーモをパートナーにホウエンを旅する女の子の話/pixiv1200フォロワーお礼リクエスト企画作品になります。アンタレス様、リクエストありがとうございました!/ネームレス女主です。


「やっと来れた!」
 私はよっとルネシティに立つ。案内してくれたチョンチーにお礼とオレンのみを渡して、相棒のバシャーモをモンスターボールから出した。
「よかった。怪我はないね」
 バシャーモはこくんと頷く。そして濡れている私を見て、そっとポケモンセンターを見た。そうだ。濡れた服を着替えなければならない。街に行くには海底からか、空からか。ただし、そらをとぶを解禁してもらえるのは、一度自らその地に足を踏み入れなければならない。どうしてそんな約束事なんて作ったんだ。でもまあポケモントレーナーなので、未知の土地はわくわくするので良しとする。
 ポケモンセンターでシャワーを浴びて海水を流し、湯船に浸って温まる。それから、濡れていない服に着替えて、バシャーモと一緒に昼食だ。オムライスにしてみた。バシャーモにも少しだけ分けようと、スプーンに一口分差し出した。あーんと言えば、バシャーモは素直に食べた。美味しそうで何よりである。ちゃんとポケモンも食べれるものでしか作ってないので安心してほしい。

 ルネシティに繰り出して、白亜の街を歩いて観光する。綺麗なところだ。カメラを取り出して、写真におさめる。私はポケモントレーナーであり、なおかつ、カメラマンである。風景写真が専門だが、相棒のバシャーモだけは別だ。バシャーモと白亜のルネシティの街並みを、ぱしゃりと撮っていく。綺麗だ。私がうっとりとすると、バシャーモが苦笑していた。いいじゃないか。うちの子が一番なのはポケモントレーナーならば当然なのだから。
「ねえ、バシャーモ。次はミナモシティの灯台がいいな」
 もちろん、このルネシティを満喫してからね。そう笑うと、バシャーモはぽんぽんと私の頭を撫でてくれた。

 夜になるまで写真撮影をして、ポケモンセンターに戻る。テキパキと夕飯と入浴を済ませて、借りた部屋に入る。バシャーモのブラッシングをしながら、明日の予定をつらつらと語る。バシャーモにも把握しておいてほしいという私の欲だ。
「今度は街の東側に行こう。きっと、とても綺麗だから!」
 朝から晩まで、ずっと写真を撮ろう。バシャーモは暇だろうけれど、いいかな。そう問い掛ければ、幼い頃から私の相棒であるバシャーモは平気だと言ってくれた気がした。
 ふわふわになったバシャーモに抱きつく。ほのおタイプらしく、熱いぐらいに温かい。
「バシャーモ、今日は一緒に寝る? それともモンスターボールに入る?」
 バシャーモはベッドサイドに座った。うーん。その寝方は体が痛くなるだろうに。私はじゃあ寝ようかと、電気を消して、ベッドに潜り込んだ。

 早朝。日が出る前。薄暗闇で、私は目を開く。バシャーモも、ぱちんと目を開いた。気配に鋭くて何よりだ。
「早めに行こうか」
 カメラや貴重品を持って、私たちは静かにポケモンセンターを出る。勿論、ジョーイさんには挨拶した。
 静かな街を歩く。バシャーモと並んで、白亜の街が見渡せる場所を探した。そして、じっとその時を待つ。
 朝日だ。

ぱしゃり。

 そこからは、何度も何度も撮影を繰り返す。何百枚も撮影したっていい。使う写真は後から選別すればいいのだから!

「バシャーモ、朝だね」
 ふと、言うと、バシャーモはそりゃそうだと言うようにくつくつと笑った。

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