花見/みかさに♂

タイトル:花見
要素:刀さに/刀×主/男審神者
版権:刀剣乱舞
CP:みかさに♂

名前変換無し

男審神者主→三十路。清潔感はある。童顔だったり女顔だったりは無い。何事も根に持たない。さっぱりした性格。三日月に言い寄られてる。



 くあ、と欠伸をする。おや、三日月が言った。
「眠いのか」
「まあ、こんだけいい天気ならな。仕事が片付いたら花見でもするか」
「おお、それはいいな。俺が厨に知らせてこよう」
「よろしく。俺もすぐ行くから」
「うむ。待っておるぞ」
 すたすたと三日月が執務室を出ていく。入れ替わるように近侍の加州が顔を出した。
「主、俺やっとくよ」
「いいのか?」
「三日月が休みなの、久しぶりでしょ? 仕事も切羽詰まったものがないし、オレでもできるのばかりだもん」
「加州の仕事を増やすのは気が引けるな」
「俺としては、三日月さんと逢瀬を楽しんでほしいんだけどな」
「逢瀬って、まあそうだけどよ」
 じゃあ頼んだ。審神者の言葉に、加州は任せてと嬉しそうにした。

 厨に行くと、三日月が茶を淹れていた。茶菓子も箱から皿へと出してある。
「桜餅じゃん」
「まだ早いがなあ」
「梅が咲いてるからな」
「季節を先取り、というやつだ」
「歌仙が眉を顰めそうだ」
「はは、そうかもしれんな」
 さあ、行くか。三日月が盆を持ったので、審神者はそれなら東屋に行くかと進んだ。

 東屋に刀はいなかった。三日月と審神者がふたりきりで茶と菓子を楽しみながら、梅を眺める。
「ここには紅梅があるのか」
「だな。反対側に白梅があったはずだ」
「桃色のものもあった気がするが」
「どうだったか」
 暖かな陽射しと、仄かな梅の香り。桜餅が甘かった。
「主」
「ん?」
 どうした。審神者が振り向くと、三日月がそっと口元に指を寄せた。
「ついているぞ」
「は」
「食べていいか?」
「どうぞ」
「頂こう」
 顔が近寄り、べろりと舐められ、食まれる。
「あのさあ」
「はっはっは」
「いくら人がいないからって、そういうのは良くないぞ」
「いいではないか。見るものもない」
「ったく」
 今は許してやる。審神者の傲慢な物言いに、赦されたなあなんて、三日月はまた笑った。

 早春の香り。遠くから、短刀たちの遊び声が聞こえてきたのだった。

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